壁量計算が変わる?1981年以来の激震

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こんにちは。良い天気が続きますね。先日は皆既月食がありましたね。全国的に晴れて見た方も多かったと思います。天王星が月食中に月に隠される珍しい現象も重なり、大注目されました。天王星は6等星くらいの明るさなので思った以上に明るいのですが見つけるのがむずかしいので見たことない方が多かったと思います。私も久しぶりに見ました。撮影もしました。下の写真の月の左下の円内です。双眼鏡があれば簡単に確認出来ました。

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さて、そんな珍しい現象が起こった最近、木造の建築に関しても新しい発表がありました。2025年に省エネ義務化が発表されていますが、それに伴い、省エネ化が進んだ木造住宅での重量増を見越して、壁量計算の基準が変わるかも??ということで国土交通省から新案が発表になりました。

一般に建築物は重ければ重いほど強く作らなければなりません。これは対地震に対しても同じです。木造住宅より頑丈そうな鉄筋コンクリート造の住宅は、確かに頑丈ですが、重いため、木造よりはるかに強く作らなければならないのです。

これは木造同士でも同じで、屋根が重い瓦屋根の住宅のほうが、軽量の屋根の住宅に比べて強く作らなければなりません。

そして、省エネ基準が厳しくなると、断熱材が増えて、太陽光パネルが増えて・・・ということで建物の重量が重くなるのです。そのことで現在の木造住宅は、壁量計算通りに作っても耐震性が劣るのではないか?と言われてきました。その疑問を解消すべく、今回、国土交通省から案が発表された、ということです。

ぶっちゃけた話、壁量計算の改正は、省エネ化が進む以前から言われていたことなので、省エネ化が木造住宅の壁量計算の基準を変えた・・・かどうかはわかりません。壁量計算が、基準として不足しているのでは、と言われ続けていましたし。

そして今回発表された案は、かなり厳しいものでした。

とりあえず、木造2階建て(軽い屋根)で外部を構造用合板で固めて、一部筋かいで補強してある新築のモデルを計算してみました。この建物は構造計算をすればNGですが、壁量計算は満たしています。

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はい。表の上部は、従来の壁量計算です。判定とある部分で充足率があるのですが、一番悪い部分でも1.95倍の充足率があります。つまり壁量計算の2倍の強度がある、ということです。1.5倍くらいでも余裕があるといわれているので、この設計を責める人はいないと思います。

しかし、表の下部のZEH等を見てください。こちらは国土交通省が今回発表した基準で計算したものです。なんと1階X方向と2階Y方向でNGが出ています。これくらい劇的に基準が変わると、大きな影響がでると思います。この案がそのまま建築基準法になるかどうかはわかりませんが、今後この厳しい基準を満たす必要がでてきそうです。

ということは、これから新築を行おうという方は、この基準を満たしておかないと2025年以降、法律で定められている強度を満たしていないことになります。ちょっと悲しいですね。なので、これから木造住宅で新築を建てようという方は、設計者にお願いして、この基準で設計してもらうか?構造計算をして耐震等級などを取得したほうが良いと思います。

ちなみに現時点での情報は構造計算には影響がないそうです。というのも構造計算は建物の重量を加味して計算するので、太陽光パネルが載れば、その重量を加算します。断熱材が重ければ重く計算します。なので既に構造計算した建物に住んでいる方は特に気にする必要はありません。

もし、1981年以降で現在までの木造住宅に住まわれていて、上記のことで心配になった方は、なまあず本舗設計室にご相談ください。耐震診断すれば、お住まいの家が安全かを判定できます。特に屋根に後から太陽光パネルを載せたりした方は心配だと思いますので、ご相談ください。