木造構造計算ソフト紹介(2024年版)

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木造構造計算ソフト紹介

いくら理論や手計算が大事と行っても、実務では構造計算ソフトを活用するのが現実です。ここでは定評のある構造計算ソフトを紹介していきます(2024年8月8日更新)。2017年3月にグレー本の2017年版が発売になりました。また46条2項ルート(壁量計算除外ルート)の構造計算ソフトも揃ってきました。情報が入り次第掲載させていただきます。2018年4月よりツーバイフォー、2018年11月よりCLTのソフトも紹介します。

2025年に建築基準法が改正されます。
・最高軒高、最高高さの基準変更(最高高さ16m)
・構造計算した場合、壁量計算不要に
・4号建築物の特例縮小→壁量計算の仕組みが変更に
新しい基準にあった木造構造計算ソフトが徐々にでてくると思われます。
※改正後のソフトウェア情報を追記しました(2024年7月現在)

新グレー本対応の木造構造計算ソフト

HOUSE-ST1
初心者向けのシンプルな構造計算ソフト

構造計算ソフトの老舗メーカーが放つシンプル操作とグラフィカルなインターフェイスが魅力の構造計算ソフト。初心者にも習得しやすいように、耐震診断ソフトHOUSE-DOCと似たインターフェイスを採用し、3Dモデルで視覚的に筋かいなどチェック出来るのでミスを未然に防ぎやすいです。ソフトウェアプロテクトを採用し運用が非常に楽になりました。近年ではトラスに対応したり、中規模木造への対応も行われました。CEDXMによるWallstatに転送にも対応しています。

<良い点>
木造部分と基礎を一体で計算できる。
200軸と必要十分の軸数
CAD下図機能が便利!!通り心も読み込めます!!
画面がグラフィカルで非常に操作しやすい。習得しやすい。構造初心者にお勧め!
購入価格が安い。年会費のサポート料金が不要
同社のWallシリーズやBUSシリーズと連携して混構造や地下室建物などの設計がしやすい

<ここはちょっと・・・>
2025年1月に大幅値上げ
やや機能不足
複雑な形状が入力しにくい(入力できても計算しにくい)
構造図等の作図が苦手(CAD変換はできる)
年会費はないがバージョンアップ価格・頻度はそれなりにある。
同社のHOUSE-シリーズと似ているのにデータ互換性がない(WOOD-STへは、コンバーターあり)

販売:株式会社構造システム
STRDESIGN
多機能・高性能な構造計算ソフト

新グレー本2017対応で非常に多機能な構造計算ソフト。以前はその難解な操作性から、購入しても使えないとの悪評も立ちましたが、現在はかなり改善されて扱いやすいソフトになってきました。一方初期の価格を知っている人から見ると、高くなったな~と感じてしまいます。入力したモデルでそのまま計算ができ、計算書や図面までできあがるので非常に手軽で便利です。

近年では大規模木造にも力を入れており、大型対応版をリリース。2000㎡まで対応し(通常版は500平方メートルまで)、トラス構造の屋根やA2版の図面出力にも対応しました。混構造オプション、三次元可視化ツール、グリッドポスト基礎工法オプションなどオプション類も意欲的なものが多いです。

2020年秋より富士通Japan株式会社発足にともない同社に移管されました。2022年8月、省エネ計算機能を標準搭載(モデル住宅法)しました。最近新機能搭載に積極的で、月単位のサブスクにも対応しました。

2025年3月に、2025年改正(案)の木造2階建て等の壁量計算の方法に対応しました。

<良い点>
多機能・グレー本に比較的忠実に機能を実装してくれる
意匠図通りの入力がしやすい(モデル化の手間が省ける)
斜め壁などの形状の建物に対応・
アーキトレンドZ等との連携機能
図面がすぐに作成できる
Wallstat連携が標準機能で使える

<ここはちょっと・・・>
オプションの継続性が非常に難(せっかく買っても継続してくれなかったりする)。私も確認申請オプションと構造自動設計オプションが継続してくれず非常に悲しい思いをしました。3Dは標準仕様になったし。
複雑な形状には向きません。
当初は安価な部類のソフトだったが、今はかなり高い。

<法改正>
 2025年改正の壁量計算内容を先行して3月から搭載

販売:富士通japan
MOKUZO.Designer
新グレー本対応!!木造構造計算のニューフェイス

新グレー本2017対応の新ソフトで2018年12月新発売!!
4号建物の構造設計・計算機能にも力を入れ、軸組図に金物形状を描画するなど、初心者にも気を配った設計となっている。柱と耐力壁を一緒に入力出来たり、4層の計算やペントハウスの計算も出来たり、後発ならではの使い勝手に関する工夫が見られます。

<良い点>
新グレー本2017からのソフトなので過去の設定がなくわかりやすい
4号建物向けの機能・帳票が充実している。
ペントハウスに対応。4層の計算も可能。
基礎・母屋・タルキまでソフト内で行える
斜め方向の壁の入力がしやすい。
4層の解析ができる
進化が意外と早い。そもそも発売タイミングで未完成だったのかも??それで評判を落としたのは惜しい。

<ここはちょっと・・・>
説明書を見ないと、絶対わからない入力操作
設定も難しい。設定さえきちんと行えば問題ないのだが・・・。
耐力壁の入力が独特。

販売:株式会社構造ソフト
KIZUKURI
多くのユーザーをもつ老舗の扱いやすい構造計算ソフト

木造構造計算ソフトのパイオニアで、青本の頃は圧倒的なシェアがありました。現在でも木造構造計算ソフトといえば、kizukuri!といわれるほど代名詞となっています。誰でも直感的に操作でき、チェックも簡単、審査機関の人も見慣れているので審査が早いです。2016年にVer7が公開され、通り数が180通りに拡張され、引き抜き力の算出が変更になりました。事業譲渡後の新バージョン(Ver7.5)が2016年12月に発売され、2017年6月に新グレー本2017に対応したVer7.6をリリース。2020年秋に斜め方向壁に対応したVer8を発売しました。2021年夏に耐風梁対応のVer8.1を発売。2024年9月にユーザーインターフェイスを一新したVer9を発売いたしました。Ver9のユーザーには、2025年改正法の内容は無償バージョンアップとなります。

<良い点>
見やすい帳票。入力が簡単。審査機関も見慣れている。ユーザー数が多い(シェアが高い)。エラーチェックも明快。動作が比較的安定で意味不明なエラーが少ない

<ここはちょっと・・・>
価格が高い。バージョンアップ価格も高くなった。過去に比べて有料バージョンアップ頻度が多くなった。
品確法の準耐力壁・腰壁に非対応。最近魅力的な機能実装が少ない。
Ver8で斜め壁に対応したものの対応が中途半端(梁は載らない、金物N値計算のみとか)
基礎は一体で計算できない(二次部材ソフトが付属)
構造的モデル化が結構必要、最近モデル化に関して確認検査機関からの指摘が多い
Ver8は動作が若干不安定。計算が遅くなった(斜め壁が加わったためか?)
2016年に株式会社コンピュータシステム研究所へ譲渡されたため、今後が若干不安と期待。サポートは木造舎が当面行うようなので今後の展開がどうだか・・・。

販売・サポート:有限会社木造舎株式会社コンピュータシステム研究所
木三郎6
木造6階建て+ペントハウスまで対応した構造計算ソフト。2023年11月発表

日本の市販ソフトで唯一木造6階建ての計算に対応した木造構造計算ソフト。ルート3で計算可能。木三郎4からゾーン解析の機能を削っているのが残念。定価80万円と高めですが、メンテナンス料は5万円とまあまあ安価。国内で唯一無二のソフトなので、今後も高層木造の定番になるでしょう。※2024年10月に東京デンコー廃業につき、新会社設立しメンテナンスを継続と連絡がありましたので、若干今後に不安を残します。

販売:株式会社東京デンコー  後継会社 株式会社 木構ソフトウェア
ハウストラ
木造建築物電算プログラム認定取得の建築CAD系構造計算ソフト

新グレー本2008対応の木造構造計算ソフト。建築CADのB-MOS内部のプログラム。

販売:株式会社ハウテック
木三郎4・木三郎4大
老舗の構造計算ソフト会社が放つ実用性の高い構造計算ソフト!

木造3階建ての構造計算に対応したソフト。オプションで省エネルギー計算ができるという特徴的なプログラムです。出力はkizukuriなどに近く非常に読みやすいのが特徴です。保有水平耐力計算や、ゾーン解析によるスキップフロアの解析、ルート2の判定。面材の詳細計算への対応、雑壁の考慮、金物工法への対応など、他社にはない高度の機能を搭載しています。また壁麻呂・ACE許容3と連携して、木三郎4のデータを転送できます。

近年ではルート3(保有)で木造単独で4層を計算できるようになりました。

※2024年10月に東京デンコー廃業につき、新会社設立しメンテナンスを継続と連絡がありましたので、若干今後に不安を残します。

販売:株式会社東京デンコー 後継会社 株式会社 木構ソフトウェア
達人設計
2025年改正を見据えて開発されている新ソフト。今のところUIのみ使える状態で公開されている。WEBアプリでOSに依存しないのでMacなどでも利用できる。省エネ計算にも対応を準備するなど意欲作。年間ライセンス契約でローコストからスタートアップが可能とあるので、価格にも期待したい。

<法改正>
 新ソフトのため、2025年改正の壁量計算内容を搭載予定。8月に柱・梁の構造計算機能を搭載したα版をリリース予定だったが、11月現在リリース延期とかなり伸びているうえ、リリース日も未定。

(株)えびす建築研究所
ホームズ君「構造EX」
丁寧な作りで人気が高い木造構造計算ソフト。さまざまなソフトとのデータ互換性が高くBIM(Revit・VectorWorks・ARCHICAD)とデータ互換を実現。wallstat連携オプションを発売した。法改正の情報提供や機能アップに貪欲。斜め軸にも対応予定です。改正建築基準法の改正案にもいち早く対応予定。

<法改正>
 2025年改正の壁量計算内容を先行して10月1日リリース
2025年1月に、本体価格及び年間サポート価格値上げ

販売:インテグラル

木質構造設計規準・木造ラーメン系・46条2項ルート

ASTIM
任意形状に対応した新しいタイプの木造構造計算ソフト

木質構造設計規準に基づき計算するため、通常の構造計算ソフトとはかなり挙動も入力も異なる。木造ラーメンに対応したり、同社のASCALのオプションがあれば、混構造も一貫して計算できる優れものです。混構造・スキップフロアなど柔軟に対応できます。現時点ではルート2まで計算を行うことができ、2017年夏に保有対応しました(オプション)。

以前は、非常に大型もしくは不整形な建物のみ、という感じのイメージでしたが、グレー本に対応したオプションを投入したり、壁量計算オプションを投入したりと、簡易な建物にも対応しやすい環境が整ってきました。ST-Bridgeにも対応。

販売:株式会社アークデータ研究所
WOOD-ST
46条2項ルートに対応した壁量計算によらない木造構造計算ソフト

人気の木造構造計算ソフトHOUSE-ST1のユーザーインターフェイスで入力しやすさそのままに、46条2項ルート(ルート2まで)に対応した新しいタイプの木造構造計算ソフト。木質構造設計規準、混構造手引、2015年構造関係技術基準解説書に準拠しています。壁量計算によらないで計算できるので、方杖フレームや、高倍率耐力壁、スキップフロアなどが手軽に実現できます。あえて任意形状とせず、ある程度形状を絞ったことで、構造熟練者でなくてもある程度ついて行けるように工夫されています。HOUSE-STから形状データをインポートできる機能を搭載しているようなので、HOUSE-ST1からのレベルアップ組に最適です。またKIZUKURIなど新グレー本準拠のソフトに物足りなくなったが、任意形状系は不安という方にお勧めです。2017年秋発売。

使って見ると二項ルートのソフトとは思えないほどグラフィカルで扱いやすい反面、パラメーターの設定には細心の注意を払う必要があります。2018年秋に基礎の計算等が追加されたVer1.5をリリース。積み残しをかなり解消し、完成度が高まりました。Ver2になり、細かな積み残しもだいぶなくなり、パワーユーザーを中心に期待が高いソフトウェアとなっています。

<法改正>
 2025年改正の壁量計算のみに対応できる必要壁量を変更出来る機能を搭載
2025年1月値上げ

販売:株式会社構造システム
SEIN La CREA Premium 木造(オプションプログラム)
あの大臣認定ソフトの木造構造計算オプション

S造やRC造の新制度下の最初の大臣認定ソフトとして有名なSEIN La CREAのオプションプログラム。多機能なSEINで木造構造計算を行う事ができます。2017年秋発売??11月に講習会が企画されています。

ルート3(保有水平耐力)には今のところ非対応。オプションプログラムなので、木、RC、S併用のモデル化が可能。46条壁量計算は可能らしい。木質材料データベースを備える。各パラメーターの設定は任意形状系に近いので汎用性は高い。など期待のソフトです。

2018年春、大幅アップデート。

販売:株式会社NTTファシリティーズ総合研究所(SEINWEB)
Super Build /SS7 Op.木造ラーメン
あのシェアナンバーワンのユニオンシステムSSシリーズで木造も!

国産一貫構造計算ソフトのSSシリーズで大きなシェアを持つユニオンシステムから、中大規模木造建築物の設計シミュレーションをおこなえるようになりました(2021年春)

RC造・S造との平面および立面混構造を可能としました。

販売:ユニオンシステム株式会社

 

46条壁量計算・4号建物専用

HOUSE-4号
操作性で定評のある耐震診断ソフト「HOUSE-DOC」と似たユーザーインターフェイスを搭載した壁量計算・N値計算ソフト。シンプルな操作性で素早く書類を作成できます。年会費が必要なのに近年開発が止まっている模様。

※2024年8月末終売。サポートは販売終了後一年間

販売:株式会社構造システム
ぽちっと壁量
短時間で計算が可能な壁量計算・N値計算ソフト。確認申請だけでなく性能評価申請にも利用できる図書を出力できます。
販売:(株)SHF

ツーバイフォー(2×4・枠組壁工法)構造計算ソフト

2×4壁式3
壁式鉄筋コンクリート造ソフトから派生した本格的なツーバイフォー構造計算ソフト。最大地上7階+地下1階に対応。混構造に対応しています。多機能で現在主流の2×4構造計算ソフト。ちょっと画面設計などが古めかしく、使い勝手があまり良くないのが欠点。

※2024年10月に東京デンコー廃業につき、新会社設立しメンテナンスを継続と連絡がありましたので、若干今後に不安を残します。

販売:株式会社東京デンコー 後継会社 株式会社 木構ソフトウェア
KIZUKURI 2×4
ツーバイフォー版のKIZUKURI。床構面の検討や頭つなぎの検討など省略している機能もあるが、非常に使いやすくシェアも高い。シンプルな機能で速度も速く、使い勝手も良いのでユーザーの支持は高い。
販売・サポート:有限会社木造舎株式会社コンピュータシステム研究所
らくわく
ツーバイフォー協会が販売する木造二階建ての構造検討ソフト。2×4の壁量計算、構造材の断面算定、接合部引き抜き力計算、基礎の設計支援プログラムです。四号建物向けで構造計算ではないのですが、その分使いやすく四号建物のツーバイフォー建物の設計にお勧めです。本体価格は比較的安価ですが、毎年ユーザー更新費用が発生します。
販売:キャリアネット株式会社一般社団法人日本ツーバイフォー建築協会

CLT構造計算ソフト

CLT2016許容応力度法
ルート1に対応したCLT構造計算ソフト。3階建てXY方向100スパンまで計算可能。オプションで基礎の計算にも対応。2018年6月発売。
販売:株式会社東京デンコー
CLT構造計算ソフト(名称不明)
2018年秋に発売になったCLT構造計算ソフト。ルート3にも対応した本格的なソフトです。開発元は日本初の工法評定も取得しました。
発表:ライフデザイン・カバヤ株式会社 参考 日本CLT技術研究所

その他

Wallstat
木造の振動解析ソフト。無料で使えます。CEDXMに対応したことで、各ソフトからデータコンバーターが次々に開発され、利用環境が整いつつあります。計算ソフトが遅いので、改善版を開発中のようです。
開発:Wallstat

2022年12月13日更新
木造一発、ぽちっと許容削除

2023年12月1日更新

木三郎6 追加

2024年3月25日更新

2024年7月18日更新 2025年改正法対応状況を記載

2024年8月8日更新 販売終了ソフト明記

2024年9月27日更新 kizukuri Ver9記載、東京デンコー廃業記載

2024年11月15日更新 値上げ情報、株式会社木構ソフトウェア(東京デンコーの後継会社)記載