設問に答えてチェックしてみましょう。
設問に答えて、自宅の耐震性をチェックしてみましょう。年代別に注意点とアドバイスがでてきます。特に新耐震以降のチェックに重点を置いていますので、是非ご活用ください。
※このチェックは、通常の在来軸組工法の木造2階建てを対象にしています。混構造、木造3階建て、ツーバイフォー工法、擁壁がある建物、地下室がある建物、敷地の高低差が激しい建物は対象外となっています。それらであっても参考にはなるかもしれません。
自宅の建設年月日を調べて、どれに該当するか?わかったら、その年代をクリックしてください。
⓪1981年5月以前(旧耐震基準)を選んだあなたの家は・・・
旧耐震基準の木造住宅となります。当時の法律通りに作っても耐震性が不足する場合があります。また法律通りに設計されていない建物、設計通りに建築されていない建物も多く、耐震性が低いものが多いです。そのため、国は助成金を出してでも、耐震性の強化に取り組んでいます。
木造2階建ての壁量基準の変化(cm/㎡)
旧耐震 | 新耐震 | |||
1950年 | 1959年 | 1981年 | ||
軽い屋根 | 1階 | 12 | 21 | 29 |
2階 | 8 | 12 | 15 | |
重い屋根 | 1階 | 16 | 24 | 33 |
2階 | 12 | 15 | 21 |
上の表は、各階の床面積あたりの必要壁長を示します。50㎡の2階建てで比較すると、1959年の軽い屋根の1階は10.5m(21cm/m2 × 50㎡=1050cm=10.5m)耐力壁長が必要なのに対し、新耐震だと14.5m(29×50=1450cm=14.5m)必要になります。この差は大きく、たとえ当時の法令遵守して建てられた建物であっても、かなり余裕をもって設計しない限り、耐震性を満たすことは難しいといえます。なので耐震診断して、耐震性を確認するというよりも、どれくらい補強をすればいいか?を知り、補強金額の概算を出すことが診断の目的となります。
瓦屋根の場合、重い屋根に該当し耐震性が低くなりがちというだけでなく、瓦の留めつけが不十分で落下の危険性が高いです。そのため金属屋根への葺き替えを含め検討したほうが良いです。
そのため耐震診断を受けて、補強を行うか?建て直すことをお勧めします。築年数もだいぶ経過していますので、建物の老朽化、設備の老朽化も心配です。専門家のアドバイスを聞きつつ、総合的な判断が必要となってきます。
その対策
助成金なども出ている行政も多いので、助成金を活用して、まずは耐震診断を受けてみてはいかがでしょうか?そのうえで、このあと、どのように暮らしていくか?を含め検討してみてください。補強する、しないだけでなく、建て替え、売却して他に移ることも選択肢になります。
古いから、もう住み続けることができない、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、メンテナンスを怠らなければ、意外と長く住み続けることができます。耐震性が低いので、メンテナンスを兼ねて、補強を行うと良いでしょう。
なまあず本舗の耐震診断
①2000年以前 を選んだあなたの家は・・・
新耐震基準の時期に建築された木造住宅です。この時代は壁量が十分にあるものの、金物などが十分でない建物が多いです。また検査済証を受けていない建物が多く、図面通りに建てられていないものも多く存在するので、新耐震だからといって安心してはいけません。
また、瓦屋根の場合、重さで耐震性が不安というだけでなく、瓦の留めつけが不十分である場合が多く、耐震性と瓦の落下の両面で気をつける必要があります。
この時代の木造住宅は、金物が不十分なものの、筋かいなどが入っているケースが多く、旧耐震基準の頃の建物に比べて耐震性が若干高いものが多いです。下記のA~Cに当てはまるかどうかチェックして、ご自身の住宅のおおまかな耐震性を知り、対策を講じましょう。
A:壁量計算されており、図面通りの施工が行われていて増築などが行われていない。
Aに該当しない場合はBへ
Aに該当するあなたの家は、壁量が十分で新耐震基準に適合している可能性が高いです。ただし、2000年以前の木造住宅は、柱頭柱脚の金物、筋かい金物などの金物の規定がなかったため、金物が少なく、耐震性が十分でない家が多く存在します。心配なら専門家に、新耐震基準の木造住宅耐震性能検証法などで、耐震性が不足していないか?確認してもらいましょう。
B:図面と現況が異なるもの、またはリフォームなどで間取りが変わっている。
Bに該当するあなたの家は、図面と現況が異なり壁量計算が信用できません。よって旧耐震の耐震診断と同様に、耐震性が不足する可能性が高いので、専門家による耐震診断を受けることをお勧めします。
②2000年6月~2003年2月以前を選んだあなたの家は・・・
新耐震基準が施行されて久しく、また久々の改正により金物やバランスの規定が盛り込まれた最新の法令に適合し、2024年現在と同等の基準となっています。法令を守って設計しているのであれば、耐震基準が満たされている可能性が高いです。
瓦屋根の場合、比較的新しくて安全と思われるかもしれませんが、とめつけが不十分な場合があります。瓦のずれがあったり、屋根棟部に針金状の結束線がなかったり、軒やけらばの瓦にビスや銅線による結束線がなかったりした場合は、落下の危険性がありますので、要注意です。
C:検査済証があり、図面と現況が同一である場合
Cに該当しない場合はDへ
Cに該当するあなたの家は、壁量が十分で新耐震基準に適合している可能性が高いです。また金物やバランスの規定も現在と同等となっています。しかし中にはそれらを知らずに特例を用いて壁量計算すら行っていない物件もあります。心配なら専門家に、新耐震基準の木造住宅耐震性能検証法などで、耐震性が不足していないか?確認してもらいましょう。
D:図面と現況が異なるもの、またはリフォームなどで間取りが変わっている。
Dに該当するあなたの家は、図面と現況が異なり壁量計算が信用できません。よって旧耐震の耐震診断と同様に、耐震性が不足する可能性が高いので、専門家による耐震診断を受けることをお勧めします。この時期になると構造用合板などが使われ、図面と現況が異なっていてもある程度の建物の固さがあります。しかしながら金物がついていない、もしくは適切についていない可能性が高いので、金物の調査を中心に耐震診断を行い耐震性を確認してみてください。
③2003年3月~2007年6月以前を選んだあなたの家は・・・
E:検査済証があり、図面と現況が同一である場合
Eに該当しない場合はFへ
この時代の木造住宅は耐震性が高く、大地震などでも壊れにくいことが確認されています。しかし中には壁量計算されていない建物、不適切な建物が希にあります。もし心配であれば、図面を持って構造に詳しい建築士にまずは相談してみてはいかがでしょうか?その上で怪しいということであれば、耐震診断することをお勧めします。
F:図面と現況が異なるもの、またはリフォームなどで間取りが変わっている。
Fに該当するあなたの家は、図面と現況が異なり壁量計算が信用できません。よって旧耐震の耐震診断と同様に、耐震性が不足する可能性が高いので、専門家による耐震診断を受けることをお勧めします。この時期になると構造用合板などが使われ、図面と現況が異なっていてもある程度の建物の固さがあります。しかしながら金物がついていない、もしくは適切についていない可能性が高いので、金物の調査を中心に耐震診断を行い耐震性を確認してみてください。
④2007年7月~2009年を選んだあなたの家は・・・
⑤2009年10月~を選んだあなたの家は・・・
住宅瑕疵担保履行法が施行され、原則保険への加入が義務づけられました。そのため、配筋検査や金物検査、防水の検査などが第三者により行われるようになり、特に雨漏りの可能性が減りました。また構造面でも配筋検査や金物検査が行われることから、構造の信頼性が高まりました。この時期の建物は原則耐震診断は不要で、インスペクションなどを活用して、欠陥や劣化を点検してもらい、問題があったら補修するようにすれば良いでしょう。
このチェックの注意点
あくまで、年代別の目安と注意点となります。例外もありますので、心配な場合は専門家に相談ください。また無断転用は禁止しております。
誰でもできる木造住宅の年代別耐震性のチェック(2024年3月作成)
制作:なまあず本舗設計室