エアコン設置のスリーブ穴を空けるときに筋かいや柱を欠損することについて

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おはようございます。

耐震診断やリフォームが多い私だからこそなのかもしれませんが、エアコン設置のときに空けるスリーブ穴によって、筋かいや柱が欠損してしまう「事故」が多いです。たぶん20回以上見ていると思います。そもそも古い建物は筋かいが入っていないものもあるわけで、筋かいのある建物で更に筋かいにぶつかるケースは稀なはずなんですが。

しかしバレないだろう?ということか?それとも本当に気がつかないのか?適当にスリーブ穴を空けてしまう業者が多かったのかもしれません。穴を空ける機械になれている方に聞いたところ、筋かいなどに当たって貫通すれば、間違い無く気付く!そうです。なので、穴を空けても問題ない、くらいな気持ちなのかもしれません。

さすがに近年は、このことが問題になることが多く、今年は特に相談が多いです。家電量販店大手の場合、さんざん相談だけして無理難題を言ってドロンしました(もう絶対対応しません)。

とりあえず、筋かいや柱を欠損しないように下準備を十分にしてから、作業しましょうね。まずは図面で筋かいの位置を確認、そのうえで、壁裏センサーなどで裏に柱、間柱、筋かいがない箇所を特定してから行います。サーモグラフィーと壁裏センサを併用し、石膏ボードのみ先に穴を空けて、内部を確認後、完全にくりぬくといった慎重な方も見たことがあります。

それでも若干欠損してしまうケースがあります。それは穴を空けるべきスペースが他になくギリギリを狙った場合です。そんな場合や不注意でくりぬいた場合はどうすれば良いのでしょうか?

よく相談を受けます。だいたい写真で。お客様側から、電気屋さん側、大手量販店側、など相談元は様々です。そのとき「その程度では問題ありませんよ」と業者側から説明があることが多いそうです。それでお客様側が怒って・・・というパターンが多いようです。ということは、それで納得してしまって放置されているケースも多いようです。

筋かいは特に薄いです。多少の欠損で耐震性が一気に落ちることが多いです。柱は多少欠けたくらいでは大丈夫な場合が多いですが、大きな軸力を受ける場合など怖いです。

欠損が分かった場合、まずは内部側石膏ボードをエアコン取りつけの周囲の壁を剥がし、補強方法を検討します。なぜ剥がす前に検討だけじゃだめなのかというと、筋かいをちょっと切り欠いた程度でも、他の部分に欠損が広がっていたりするケースがあるからです。またどっちみち直すのであれば、部分的に石膏ボードを切り抜いても補修ができません。

業者側から、金物で補強すれば大丈夫、との回答がありますが、ほとんどの場合意味の無いその場しのぎの直し方が多いです。耐震診断などで壁を剥がしてみて発覚したケースが結構あります。意味がないどころか弱めているケースもあります。たかがエアコンと思わずに、適当に安価に取りつけてもらわないほうが良いです。

なお、木造3階建ては、スリーブを付けるときに更に注意が必要です。構造用合板の強度を落とさないようにする必要があります。柱の際は論外です。もちろん木造2階建てでも構造用合板で耐力を取っている建物では同様です。品確法などで石膏ボードを耐力に入れている場合は更に注意が必要です。構造技術者に相談したほうが良いでしょう。

最後に、エアコンではないですが、窓枠を取りつけて「意図的に」筋かいを欠損させた「最悪のケース」をお見せします。この建物は木造3階建てでビルトインガレージ。そして他にも窓があり、「ここしか耐力壁がなかった」ケースです。

窓がついているので筋かいを切り欠いている

このケースで、窓を取り外すわけにもいかなかったので、方杖補強や内部補強で、耐震補強を実施しました。

車庫部分に方杖補強