EARTHQUAKE
正しい地震の知識を身につけ耐震対策しましょう
地震は、未だ解明されていないことから、怪情報もいっぱいネットで見つかります。主に予知や人口地震などです。ここでは建築物に絞って地震と地震の対策を紹介していこうと思っております。
※インターネット上で、明らかに根拠がない大地震のデマが多く流れています。地震は未だわからないことが多く、また事象として様々な要因が複雑に絡み合っており、一概に予知や被害抑制ができるものではありません。信じて広げることが良いことなのか?まず自問自答してください。
建物には震度という概念がない 建築基準法での地震の扱い
建築物の法律である建築基準法(及び関連法令・告示)では、建物に求められる最低限の性能について定めています。よって建築基準法を満たしていることが、安心の条件ではなく、それは耐震性にも言えることです。
建築基準法で「地震」が出てくるのは実は20条のみです。ここで地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものにしなければならないと、概念的なことが書かれています。また同条にはもう一つ「地震力」という用語もでてきます。施行令等ではもう少し出てきますが、意外にも漠然と書かれています。
地震の強さは震度で表されますが、こちらも建築基準法関連法令ではほとんど出てきません。特に我々が使う地震の強さに該当するものは皆無です(出てくるのは別な意味の震度です。例:水平震度)。
では想定する地震はどれくらいなのか?1994年発行の建築物の構造規定では一次設計では震度5程度(加速度100ガル程度)、2次設計では震度6~7(加速度300~400ガル程度)と書かれたことから、このあたりを引用して、「基準法では震度6~7程度」のような表現が増えました。しかしながら、2001年発行の建築物の構造関係技術基準解説書では、加速度が削除され、震度階も新計測震度が採用され、それぞれ震度5強、震度6強から7という記載に変更されています。その後の2007年発行の構造関係技術基準解説書では、震度が削られてそれぞれ「稀な地震・建物存在中に数回受けるであろう地震」と「極めて稀な地震・数百年に一回程度発生する可能性のある地震」として震度も加速度もなくなりました。よって現在では建築では震度の扱いが明確ではなく、非常にわかりにくい状況が続いています。
それなのに、計算の基準は変わっていないのも不思議です。なまあず本舗設計室では、震度7でも大丈夫!のような表現は禁止しています。それは震度7は震度6強を超えた全ての地震で、上限がないからです。
木造住宅に必要な地震に対する性能
木造建築物は、建築基準法のなかでも特殊です。木造2階建ては壁量計算という、こちらも根拠がなかなか難しい仕組みで設計されることが多い上、構造計算でもイロイロと例外的な取り扱いがあるからです。例えば偏心率という建物の平面的バランスの指標ですが、他の構造では0.15以下ですが、木造は0.3以下、しかも4分割法という他にはない方法でも可能です(壁量計算の場合)。
もちろん構造計算になれば、他と変わらないですので、RC造やS造と遜色はなくなります。木造と鉄筋コンクリート造の地震に対する強さが変わらないというのはおかしな話ですが、実際は鉄筋コンクリート造のほうが強いのは当たり前。しかしながら重量も重いので、それだけ大きな地震力を負担しなければならなりません。その点木造は軽量なので非常に有利になります。もっとも木造の上階に重い物を置けば、当然支えるのが難しくなるので、重量物を置く建物は鉄筋コンクリート造のほうが有利になります。
なまあず本舗が考える現時点での木造の耐震強度の出し方
あくまで当設計事務所の考えです。これが絶対正しいとはいいませんし、他に良い方法があるとは思います。あくまでひとつの考え方です。
その1:構造計画が大事。無理のない設計は経済設計だけでなく強度的にも有利
その2:繰り返しの地震に強い構造は、複数の耐震要素を組み合わせる
その3:古い家屋で、とりあえず低額で少しでも耐震性を上げたいときは欠点是正に徹する
その4:耐震等級は眉唾。高いに越したことはないが、それだけにこだわる必要はない
その5:上下階の耐力壁線が揃っていること大事。特に外周。複雑な外周は良くない
その6:耐力壁線は出来るだけ狭く。耐力壁はできるだけ分散
その7:強すぎる耐力壁の多用は厳禁。バランス大事
その8:筋かいを露出で配置は厳禁。石膏ボードなど壁に挟むのが原則。
その9:制震金物に頼らないように。余力と考える
その10:耐力壁線上の梁サイズはできるだけ揃えて。揃えないと筋かいや金物が付けにくくなる。
おもな地震用語
- 震度
- 地震の強さの程度を表す尺度。各国で様々な尺度を定めていて、統一性はない。日本では気象庁震度階級を用いている。
1996年4月以降とそれ以前では日本でも震度階級は異なり、以前は地震計の他に体感や被害から震度を定めていたが、以降は震度計による計測震度を用いている。よって震度だけでは、以前と以降では単純に比較出来ない。
海外では、スマートフォンなどで採用が多いメルカリ震度階などを利用する国が多い。 - マグニチュード
- 地震の規模を示す。地震が発生するエネルギーの大きさを表した指標値。よく震度と混同される。マグニチュードと震度の関係は、台風ではヘクトパスカルと最大瞬間風速と似ている。
日本のマグニチュードは気象庁マグニチュードを採用される。地震学ではモーメントマグニチュードが広く使われている。 - 津波
- 地震や噴火、隕石の落下、氷山の大規模崩落などで発生する大規模な高波。台風や風で発生する波とは性質的に異なる。日本ではあ主として海洋性の大地震発生に伴う高波のことを指す。国際的表記も日本語の津波から「Tsunami」が広く使われるようになっている。
- 震源・震央
- 地震の発生した場所を震源という。震源の真上の地表面の点を震央という。
- 活断層
- 最近まで地殻運動を繰り返した断層で、今後も活動する可能性がある断層
- P波・S波
- P波は、震源から離れた位置で最初に観測される揺れ(Primary Wave)、S波は後からくる揺れ(Secondary Wave)のことをいい、地震波の伝播速度の差によって生じるので、距離が遠いほど差が大きくなる傾向です。よくP波を縦波、S波を横波といいますが、人の感じ方を縦横に表現したものです。S波のほうが基本的に大きいので、その差を利用したものが緊急地震速報です。
- 長周期地震動
- 地震で発生する揺れのなかで、周期が長い揺れのこと。地上の木造住宅では影響が無くても、高層ビルや石油タンクなどが長時間揺れ続けたりします。また震源から遠いところでも発生することがあり、遠くまで伝わりやすい特性があります。
- キラーパルス
- 主に木造住宅に被害を与える地震の総称。その周期が1~2秒で木造住宅を倒壊しやすくなる周期の地震動のこと。阪神大震災や熊本地震など木造住宅に大被害を及ぼした地震で発生している。この周期を外れると震度が大きくても木造住宅の地震の被害は少なくなります。 震度は大きくなるほど地震は強くなるが、被害状況が比例していないと感じられるのはこのせい。
- スロースリップ
- 一時期話題になった、ゆっくりすべるように発生する地震。海溝などの沈み込み帯ではよく見られる。地震動としては継続時間が非常に長く、周期が比較的長めという特徴がある。
- スロッシング
- 地震の震動によって、タンクなどの内部の液体が大きく揺れる事。比較的長周期の地震動で発生しやすい。十勝沖地震や日本海中部地震で石油タンクがあふれ出る現象で有名になった。
- Eディフェンス
- 国立研究開発法人 防災科学技術研究所所管の、日本最大の3次元震動破壊実験施設。兵庫県三木市にある。2005年竣工
- 宏観現象
- 大地震発生の前触れとして発生する生物の異常行動や地質的物理的異常現象などをいう。宏観異常現象ともいう。ことわざ的なものから、実際に研究されているものまで内容はさまざま。
- 長周期パルス
- 熊本地震で観測されて注目された地震動の1つ。直下型地震で発生する非常に特殊な揺れ。大きく一方向にスライドするように揺れるフリングステップ、フリングステップと直交方向に生じる指向性パルスという二種類が発生する。通常の振動が往復して揺れ続けるのに対し、滑るように一方向にのみ揺れ(フリングステップ)、それにともない指向性パルスが発生します。断層すべりによって発生するものと思われます。 長周期地震動とは異なる。
- 地震周期説
- 大きな地震を年表でまとめると、一定周期毎に大きな地震が発生しているように感じる。それを学説として、主に東海地震や南海トラフ地震、関東大震災に当てはめて発表されたもの。「南関東大地震69年周説」などが有名。古い地震はデータが定かでは無く、また発生要因も詳しく分かっていないことから、根拠としてはやや弱く、現在では信憑性がないように言われ始めている。ただし東日本大震災の貞観地震のように、前例を探し、対策を講じることは重要とも言われている。