木造3階建ての耐震診断・構造計算
木造3階建ての耐震補強事例
揺れやすい木造3階建て
木造3階建てトレンドと歴史(別ページ)
木構造・地震の歴史(年表)
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「危ない建築」と「安全な建築」の境目を分けるもの
木造3階建ての9割は要注意・細野透氏執筆記事
揺れやすいが構造計算されている木造3階建て
【木造3階建ての例(弊社設計・監理)】
木造2階建てに比べて背が高く、風に弱く揺れやすいという欠点があります。また狭小地ですと、ビルトインガレージの場合が多く揺れやすい構造です。そのため構造計算を義務づけられています。図面通りでない場合、構造計算書がない場合、よく揺れる場合は耐震診断をお奨めします。最近の木造3階建ては、欠陥が少なくなってきていますが、初期の頃の木造3階建ては、設計ルールも浸透しておらず、施工不良や施工ミスが多かったです。また図面通り作らないことも多く、それが欠陥の温床となっていました。不安を感じましたら耐震診断を行いましょう。
このページでは、木造3階建ての耐震診断・構造計算についての情報を提供いたします。また法改正の歴史についてもまとめております。
ちなみに上記建物は、弊社設計案件で、J耐震開口フレームを使って車2台を置けるように補強しています。もちろん構造計算で安全を確認しております。
木造3階建ては狭小住宅が多く、そもそも揺れやすいです。
その構造計算が問題です
ただ、その構造計算が問題です。木造構造技術者は、そもそも鉄筋コンクリートの構造技術者と異なり意匠設計者が兼任していたりする場合が多かったです。また学問としてもあまり発達していなかったことから、本当の技術者も少ないのが現状です。しかも簡易に入力できるソフトが普及したことから、構造計算さえ通れば良いとの風潮があった時代もありました。審査側も審査が不十分な時代もありました。また施工側も金物や合板の施工になれていないため、施工不良があったりもしました。そのため構造計算はそれなりにきちんと行われてても強度的に問題があったりする場合もありました。近年は大幅に改善されてきており、あまり心配する必要はありません。
一番問題なのは、構造設計通りに作られていない3階建てです。これは違反建築物で危険です。まず木造2階建てと申請しておきながら、3階建てにしてしまうケース。壁量も金物も不足しています。また耐火上の基準も満たしていないので非常に危険です。次に3階建てとして構造計算されていても、そのプランと実際に建っている建物が異なるケース。これも実際の性能が出ていないので危険です。
実際に診断してみると、図面と建物が異なるケース、施工がいい加減なケースが多いです。特に揺れるな・・・と感じる方は、耐震診断してもらうといいと思います。
耐震診断もできる技術者が限られています
ただし、木造3階建ての耐震診断は特殊なため、できる人が限られますし費用も高いのが現状です。しかも助成金対象外です。耐震診断ソフトは木造3階建てに対応していますが、現実には構造設計の技術を持つ建築士の診断が必要で、技術者不足です。また構造設計の技術を持つ建築士の中には、図面・計算専門で施工に明るくない建築士もいるのも事実で、更にできる人は限られてきます。また都会の木造3階建ては準耐火構造という火に強い反面、構造材のチェックが非常にやりにくい場合もあります。その場合の診断方法にも限界があります。
ビルトインガレージの耐震補強
一番依頼が多いです。ビルトインガレージは、便利ですし車も汚れにくいので人気が高いのですが、耐震性が低く、振動が多くなる傾向があります。また建物バランスが悪くなりがちです。木造3階建ての場合、構造計算で強引に壁量を合わせたり、偏心率を調整している物件が多いです。振動が気になる方は、構造計算書をチェックしてもらい、耐震診断をして、建物の弱点を知ってから補強を行うようにしましょう。ビルトインガレージだけを補強すると、かえって建物を弱めることがあります。強そうだからといって写真から類推して補強を行うのは危険です。
<一般的なビルトインガレージの補強方法>
・門形フレームを入れる方法
一番安全ですが、両サイドからそれぞれ24センチ程度内側に入ってしまうので、広い駐車場出ない限り、施工が難しいですし、車が入らなくなります。柱間3m以上の場合お勧めです。特に柱を痛めないですしがっちりしています。価格は比較的高額です(2013年O様邸で利用予定)。
・方杖を入れる方法(補強設計の写真の一枚目)
特に微振動を抑えるのに効果はありますが、柱が細いと大地震時に柱が折れやすくなります。通常は柱をもう一本建てて柱を折れにくくしてから施工します。門形フレームより有効間隔が広くなるので施工の汎用性は高いです。偏心やねじれを考えて慎重に設計します。費用的には安価なのがメリットです。方杖部分を強くしすぎると柱が折れやすくなるのと、他工法に比べ強度があまり強くならないのが欠点です。
・垂れ壁を入れる方法
比較的簡単に施工できます。外観デザインが大きく変わってしまうのが欠点です。施工次第で振動もかなり抑えることができます。車のサイズを考えながら、将来購入の車の予測も考慮の上、垂れ壁のサイズを決定します。両サイドに壁がない場合、効果が薄くなるのが欠点で、使う場所を選ぶ工法です。また垂壁を無条件に強くしすぎると、柱が折れやすくなるので垂壁の施工・計画には十分な注意が必要です。通常は他の耐震補強を補間するために活用します。
・仕口ダンパーを入れる方法(補強設計の写真の四枚目)
仕上げを考えなければ、非常に手軽です。ただし欠損が多く、取付場所を確保するのが大変です。小型軽量で目立たないので、扱い安いです。ただし、単独ではあまり強くならないので、数をある程度入れる必要があります。壁が付けられない箇所、建物の弱点となりやすい単独柱の位置などに取り付けると効果的です。制震機能が高く、大地震時の振動を抑制しますので、効果的に活用したいです。
・ステンレスブレースを入れる方法(補強設計の二枚目の写真)
ステンレスは錆びにくく、強度が強いので、屋外や開口部でも目立たずに使えるのがメリットです。ただし、屋外で使う場合は、仕口に水が入りやすいので防水に十分な注意が必要です。写真はコボットという古くから実績のあるステンレスブレースで、複雑な振動をする地震に対し、梁柱などの木材が傷まないように、工夫されています。
木造3階建てはなぜ揺れる?
一般的に建物は、重いほど、高さが高いほど揺れやすいです。そのため木造平屋建てや木造2階建てに比べ、木造3階建てが揺れやすいのは仕方がないことです。そのため構造計算を義務付けられ安全になるように設計されています。
しかし、木造3階建ては、そもそも狭小な住宅が多いのです。その形状ゆえ揺れやすいという側面も持っています。木造2階建ての場合、1階の揺れを1とすると、2階は約1.4倍ほど揺れることになります。つまり2階建てでも、1階より2階のほうが揺れるのです。では木造3階建てでは??1階の揺れを1とすると、2階は1.2倍、3階は1.6倍ほどとなります(建物により異なります)。そのため木造3階建てを購入する場合は、ある程度の揺れを覚悟することが必要です。揺れることによって地震に対して抵抗できるという側面もありますので、揺れているからといって弱いというわけではないです。もちろん揺れ方がひどいと感じた場合は、耐震診断をお勧めします。
それでも、最近の木造3階建ては、構造計算が適切に行われ、施工も、構造図通り行われているので、以前よりかなりマシになりました。一昔前は、2階建てで申請して、勝手に3階建てにしたり、図面とは異なる施工をするのが、当たり前のように横行している時代がありました。そのためホールダウン金物などが適正に施工されておらず、壁の量も不足してる場合があります。このような建物は、非常に危険です。早めに専門家にみてもらいましょう。
木造3階建ての耐震診断の欠点
木造3階建ても、2004年の改定版より、耐震診断が可能になりました。木造3階建ても増えてきており、耐震診断のニーズも高まってきていますから、これは歓迎すべき点です。しかし初回ということもあり、煮詰められていない点もあります。診断者からみての欠点は、
・天井裏・床下などが覗きにくい構造であることを考慮されていない
・検査済証があるものと、ないものの差が大きく、診断に考慮されていない。
・耐力壁などで、構造計算に対応した内容になっていない。材料が少なすぎる
・構造計算内容から簡易に診断できる方法が欲しい
・全体的に評価が甘い
・構造設計者でなくても診断はできてしまうが、その正当性に疑問が生じる。
・金物の算定について、安全側に診断できるように明記されていない。
感じがします。ただ、新築で検査済み証がある物件でも、耐震診断を行うことで潜在的な欠点があらわれてくるケースもありますので、耐震診断は無駄ではありません。ただし、木造3階建ては構造計算が必要であり、構造設計のスキルも高くなければならないのに、診断は入力だけでできてしまうので、その診断精度は診断者によって大幅に異なってくる可能性は否定できません。
むしろ構造計算で加味されなかった部分を精査するほうが大事だと思うので、私個人としては、計算書を精査することも必要だと思っていますし、現場での施工不良などを探すことも大事だと思っています。そのため現場知識と構造設計の知識が豊富な設計者が行うべきだと思っています。
2012年版が発行されていますが、こちらも木造3階建てについては、特に改良は進んでいません。
大きくわけて2つある新旧計算書の比較
意外に知られていないのですが、新築の場合、木造3階建てには大きく分けて3つの計算方法があります。
・青本
・グレー本(含む新グレー本2008、新グレー本2017)
・木質構造設計規準
青本とは、上の年表にもありますが1988年に発行された「3階建て木造住宅の構造設計と防火設計の手引き」です。グレー本とは、2001年に発行された「木造軸組工法住宅の許容応力度設計」です。当時青本が普及していたため、グレー本はあまり普及しませんでした。ちなみにグレー本の改訂版は2008年に発行されていますが、グレー本のマイナーバージョンアップ版になりますので、基本的にはグレー本と同じです。更に改訂が進み2017年にも改定版がでています。各法令との整合、Q&Aの折り込みなどで完成度が高くなりましたが、基本的な部分は2008年版を踏襲しています。
2001年版は計算できる形状に難があったため普及しませんでした。2008年ではより計算しやすくなったので、広く普及しました。さらに2017年版が発行されました。こちらは2008年版のマイナーアップ版で、2001年版と2008年版よりも、更に変更点は少なくなっています。短期めり込みが必須になったほか変更点が少ないため、2008年版対応のソフトでもほとんどの部分で計算が可能となっております。
問題は、青本です。発行年からわかるようにかなり古いです。この本は3階建てを手軽に計算できるようにしたことに功績があります。特に木造舎からkizukuriという手軽な構造計算ソフトが発売されてから爆発的に普及しました。阪神淡路大震災でも、青本で設計されていたものは被害が少なかったと報告されています。
しかしながら、ソフトが普及し、青本を学習しない設計者が増えたため、吹き抜けを大きく作ったり、金物設計で無茶をする人が増えてきました。青本は吹き抜けの検討はしません。金物の在存応力で計算し、場合によっては少なすぎることもあります(特に建物隅角)。筋かいの向きも考慮しません。他にも古いので様々な欠点があります。それらの欠点を解消したグレー本は、当時としては難解で普及せず、絶版になった青本の計算を使い続けました。ただしkizukuriは、各法令に柔軟に対応し大きな問題は発生していませんでした。そしてkizukuriを始め、グレー本に対応したソフトも揃いつつありました。kizukuriはグレー本と青本の両方に対応する珍しいソフトでしたが、青本の計算方法を利用する人が圧倒的に多かったです。
さて、その傾向は2005年の構造計算書偽装事件で一変します。それまで青本を容認していた審査機関が、グレー本のみ受け付けるという方針に転換しました。もちろん青本でも法律的には問題ない、現行法規を織り込んでいけば大丈夫、との意見も多かったので、過剰反応と思われました。しかし絶版になっている構造計算方法をすることに、コンプライアンス重視の世の中はよしとせず、次第にグレー本、続く改訂版の新グレー本に対応する構造計算に変化していきました。
さて、ではどちらがいいのでしょうか?私見を述べれば、きちんと設計方法を熟知し木造を知り尽くした構造設計者が設計すればどちらも安全に設計できると思います。これは阪神淡路大震災の木造3階建ての被害の少なさを見れば、理解できます。もちろんグレー本、新グレー本のほうが理論的には優れていますが、設計手法よりも設計者の力量のほうが大事です。もちろん施工が設計通りになっているかのほうが大切です。設計図と実物が異なっていたり、購入時に構造図や構造計算書を添付していない物件は要注意です。
問題は、どちらも設計方法を熟知していない設計者が設計した場合です。グレー本の場合、水平構面の検討が必須なので、無理な吹き抜けは設計上不可能ですが、青本では設計できてしまいます。そのため構造計算されて、設計図通りに施工されていても危険な建物が存在することは事実です。
これから木造3階建てを購入される方は、構造計算方法にも目を向けてみてください。少なくともグレー本以上であり、設計図と現状が異なっていない住宅を選ぶべきです。
もし、不幸にして、あまり状態のよくない木造3階建てを購入された方は、一度耐震診断してもらいましょう。建物の欠点をあぶりだしてくれます。そして必要なら補強しましょう。弱く揺れ続けている建物は、仕口が甘くなったり、材木の劣化が早くなります。雨漏りもしやすくなります。早めに対処することが必要だと思います。
木造3階建てQ&A
質問や問い合わせが多い事項について、一般的にお答えしていることを回答します。
Q1 構造計算書があり、検査済証もある場合は、安心ですか?
A1 安心の一つの目安にはなりますが、完全ではありません。検査済証があるということは、第三者の目でチェックを行ったという意味で安心の一つの目安になります。しかしながら検査員はすべてをチェックしているわけではありません。私の調査でも検査済証がでている建物での致命的な施工不良は確かに見てきました。何か心配な兆候があれば、検査済証の有無にかかわらず、調査を依頼することをお勧めします。
Q2 木造3階建ての耐震等級3は少ないみたいですが、作れますか?
A2 作ることは可能です。ただし間取りの制約がかなり厳しくなります。また金物が異常に増えて施工性に難がでてきます。木造3階建ては、きちんと作れば地震に対する抵抗力は高いのです。それは構造計算を行ってきちんと施工されていればの話です。いたずらに数字だけ高くするよりも、きちんと設計し、施工してくれる業者に依頼したほうがいいと思います。ただ間取りによっては十分可能ですので、設計者に相談してみるのは悪いことだとは思いません。
Q3 耐震診断のときに、壁を剥がして調査するのですか?
A3 基本的に、図面と計算書がある場合を想定しています。そして施工がある程度信頼出来る場合、破壊検査は行わないようにしています(一般診断)。特に都内の3階建ては準耐火で施工されており、破壊検査によって耐火性能が低下することは避けたいです。それでも、という場合は、破壊検査を行います。詳しくはお問い合わせください。
Q4 狭小木造3階建てはやはり揺れやすいのですか?
A4 傾向的には小さな木造3階建てのほうが揺れやすくなります。耐力壁以外の耐震要素も少なくなる傾向ですし、無理して設計しているケースが多いです。揺れを気にする場合は、木造3階建て、特に狭小は避けた方が無難です。
Q5 構造計算が適法であっても、揺れやすかったり、倒れやすい場合はあるのですか?
A5 構造計算は、構造の安全性を確認するツールであります。安全な住宅を作るためには、構想段階から構造面の安全性を考えてデザインすべきであり、構造計算を下請けの業者に任せるのは本来の形ではないと思います。
そこで、計算だけ適法であって、構造計画が悪い場合、当然のことながら、本来の性能を発揮できません。構造計算は得意でも構造計画が苦手な人もいます。なかなかわかりにくいのですが、事実です。なので、構造計算されているから安全、揺れない!と思うのは早計です。
我々もプラン・デザイン優先で設計することはあります。お客様の希望である以上、ある程度かなえてあげたいという気持ちもございます。その場合は揺れやすさなどを十分に説明させていただいております。都内の狭小などでは理想的な強度はを達成するのは非常に難しいです。特に木造3階建ての場合は、設計手法が適正でも揺れることはあります。あらかじめご理解のうえ住んでいただけたらと思います。
Q6 構造計算されていれば皆同じ強度になるのですか?
A6 構造計算も特殊な技能で、建築士でも習熟が難しいです。しかしながら、近年便利な構造計算ソフトが発売され、入力すればある程度計算書や設計図ができるものがあります。ただし、梁のかけかた、安全への配慮などはソフトで考慮するのが限界な部分もあり、やはりきちんと学習して、たくさんの構造設計を行っている技術者の設計のほうが良いに違いありません。慣れていない設計者の構造図は、見るからに施工不可能なものもあり、計算ができているからといって安心できるものではありません。木造は二級建築士でも構造計算できますので、木造をやっていない一級建築士や構造設計一級建築士が必ずしも有利とは限りません。級に限らず熟練しているか?きちんと学習しているか?などが重要になります。
Q7 木造3階建ては、火災に強いのですが?
A7 木造3階建ては、都市部においては「準耐火建築物」になっているものが多いです。これは防火の指定で一概には言えないのですが、通常の木造2階建てに比べて防火の規制が厳しいです(準耐火建築物でない木造3階建てもあります)。
ただ、木造であることは同じで、防火面でしっかり施工してある木造3階建ても少ないので、避難経路が長くなりがちな木造3階建ては、火災では2階建てに比べやや不安が残ります。特に3階からの避難は気をつけて確認しなければなりません。バルコニー等から縄ばしごなどを設置し降りられるようにしておきましょう。
Q8 木造3階建ては年配者には厳しいですか?
A8 木造3階建ては3階建てなので、1階から3階まで一気に上がるのは若い人でも厳しいです(鍛えている人は楽だと思いますが)。年配者には厳しいのは確かです。
ただ年配者は1階中心、若年者は3階のようにゾーニングすれば大丈夫!また家庭用エレベーターを付けるというのも手です。
狭小ではそんな余裕がない場合が多いので、狭小木造3階建てはお勧めしません。階段もやや急になっている場合も多いので。
Q9 国産材の木造3階建てのほうがよいですか?
A9 国産材、外国産材の違いより、それぞれ適材適所、きちんと使われているか?になっているかが大切です。国産材であっても、部材をケチったり、悪い材料を使っては元も子もありません。木造3階建ての主流は外国産材です。ある程度強度と精度が必要なので集成材の利用が多いです。また準耐火の場合が多いので多くの場合木を露出しません。木造2階建ての和室などと異なり国産材のメリットはあまり感じません。予算と好みに合わせて選択すれば良いと思います。
なまあず本舗の木造3階建て
なまあず本舗設計室の木造3階建ての耐震診断
なまあず本舗設計室は、木造3階建ての構造計算の建築士を抱え耐震診断できる数少ない設計室です。まず図面と現場が異なるかをチェックし図面上(実際の状況を反映)の安全性を検証します。その後、危険となれば現地診断を行うという二段階方式です。上記で説明したように、構造計算されていて、実際の建物もその通りであれば、ある程度の耐震性はあります。しかし異なる場合は注意が必要です。なまあず本舗設計室では、その判断を先に簡易な方法で行い、無駄を省いた診断を行います。
非破壊で検査します。そのためサーモグラフィーなどを利用します。上の写真は壁の中の筋かいをサーモグラフィーで調査しました。右側の写真は通常のデジカメで撮影、左側はサーモグラフィーで同じ位置を撮影しています。右上がりの筋かいが確認できています。
赤い部分が窓ですが、両サイドのオレンジの部分にダブルの筋かいが見えます。外壁に太陽が当たっている時間は調査しやすく、このように鮮明に見えることがあります。
基礎の仕上げモルタルの割れ。業者によっては、基礎が割れていると評価しますが論外です。もっとも何か原因があるかもしれませんので、割れている位置をチェックして原因を考えます。
なまあず本舗設計室の木造3階建ての補強設計
なまあず本舗設計室は、木造3階建ての構造計算・設計を専門に行っているため、診断だけでなく、補強設計も行っております。ただ壁を増やすだけでなく、全体的な構成を考え、現実的な補強案を提案しております。また、工事も業者の選定から、設計監理を行い、工事完了まで責任を持ってやりとげますので、ご安心ください。
駐車場(ビルトインガレージ)の補強。揺れが劇的に減ります。また開口が狭くなるのを最小限にとどめます。
駐車場(ビルトインガレージ)の補強。背面はステンレスブレースで補強しました。ステンレスは錆びにくいです。ただしブレース取り付け部の防水は非常に大切で、丁寧に作業する必要があります。
仕口ダンパー。壁を新設できないガレージの補強に有効。揺れを吸収し躯体の損傷を防ぎます。
新築木造3階建てでビルトインガレージを2つ並べた例(2014年:新築)右側はJ耐震開口フレームを取り付けて耐震強度を高めている。
木造3階建ての弱点になりやすいビルトインガレージも、プランニング段階から構造検討を行い、適切に設計することで安全に設計できます。一般的な木造3階建ての場合、プランニングや外観を決めてから、構造屋さんに依頼するので無理な設計になりがちです。計画段階から構造担当者を交えて打合せ設計することで無理のない設計にで地震に対しても安心して住める住宅を建てることができます。この建物では弱点となるビルトインガレージ部分の右側(車が入っている方)は、J耐震開口フレームを取り付けて前後のバランスを取りつつ地震に対して強い設計としています。