木造住宅の省エネ

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木造住宅の省エネ 2025年義務化へ向けて

2025年の改正で、個人住宅も含め省エネ義務化が実施されます。その内容と今後の展望をお話しします。ここで出てきているUA値やQ値は、なまあず本舗のある東京都府中市を基準としています。まだ書きかけで不備もありますのでご了承ください。また2025年の改正内容はまだ不明な部分も多いため、これから情報が入り次第、加筆してまいります。

2025年省エネ適合義務化とは?

今まで、木造個人住宅は、建築基準法上、省エネの基準がなく、適合義務もありませんでした。近年の省エネ化はどんどん進んでおり、個人住宅でも適合義務化が叫ばれるようになり久しく、2025年にようやく適合義務化を開始することになりました。

Q1 どのような基準なのですか?

平成28年省エネ基準で、実際の性能で考えると1999年の次世代省エネ基準相当となります。そのため義務化されたとはいえ、建築基準法の考え方と同様に「最低の基準」ということになりそうです。といっても、2009年制定当時の旧長期優良住宅とほぼ同等の基準なので、適合していれば、冷暖房の効果は、ない住宅に比べれば顕著に良いと感じられるはずです。

Q2 適合義務化とはどのようなことでしょうか?

基準ができて、全ての建築物で基準に適合することが求められるようになることです。確認申請・検査上も審査が発生します。※3号建築物は、特例が適用され審査されない見込み

Q3 例としてどのような仕様でしょうか?

工事中

Q4 今後、基準が強化されると聞きましたが、本当でしょうか?

工事中

Q5 上の基準はどのようになっているのですか?

工事中

個人住宅の省エネ基準の変遷

住宅の省エネの始まりは1970年代のオイルショック

1970年代に始まった省エネの概念。1973年に第四次中東戦争が勃発し、同時期にオイルショックが始まりました。オイルショックを契機に省エネの考え方が広まりました。住宅金融公庫の仕様書に断熱材が明記されたのは同時期です。「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」は1979年に制定されました。同時期に公庫仕様書に断熱工事が明記されるようになりました。個人住宅にも省エネのための断熱材使用が考えられるようになりました。

「旧省エネ基準」最初の省エネ基準

その後、旧省エネ基準(昭和55年基準)が制定されました。省エネのうち、断熱性能に影響する熱損失係数(Q値)の基準ができました。国際単位系(SI)における単位はW/m2・K(ワット毎平方メートル毎ケルビン)、となります。熱損失係数は、総合熱貫流率を延床面積で除した値です。

昭和55年の省エネ基準のQ値は4.8となります。今となってはかなり低い基準で、通称旧省エネ基準と呼ばれ、後に「断熱等性能等級2」と呼ばれるようになります。

ちなみに現在のUA値に換算すると1.67相当になります。Q値とUA値は条件が違うので直接比較は出来ませんが、現在の0.87に比べると性能は半分程度と考えて良いでしょう。

それでも断熱の効果は大きく、断熱材を入れたら暖房などの効果が実感できたといいます。しかしながら、壁だけ入れる、天井だけ入れる、入れ方を間違える、など効果が発揮できないような施工も多数みられ、義務化されていないこともあり、それほど広がりませんでした。

「新省エネ基準」

1992年に省エネ法改正に伴い、1980年に制定された旧省エネ基準を改正・強化しました。通称、新省エネ基準と呼ばれます。改訂内容は、各構造の断熱性能の強化とI地域での気密住宅の適用でした(平成21年に気密住宅は削除されました)

この基準は、後に「断熱等性能等級3」と呼ばれるようになります。Q値は4.5なので、大幅な向上ではありません。

「次世代省エネ基準」 義務化時の基準に近い基準

住宅性能表示や品確法が2000年に始まる前の、1999年に次世代省エネ基準(平成11年基準 Q値2.7)ができました。省エネ法の改正によるものです。京都議定書の締結以降に21世紀の住まいづくりに照準を合わせての全面改定でした。この基準は、2025年の省エネ義務化の基準とほぼ同等で、現在の基準の元と言えるものになりました。基準値をクリアすることで、高断熱・高気密化の住宅を作れるということで、1992年の新省エネ基準より20%の削減することを目指しました。大幅に性能アップした基準ですが、現在から考えるとそれほど高いものではありません。2025年の省エネ義務化の基準もこの基準に近い形となっています。

住宅性能表示制度 品確法制定

2000年に、住宅性能表示制度や品確法が制定されました。前年の次世代省エネ基準が「断熱等性能等級4」となり、この基準が目指す基準ということが明確化されました。

長期優良住宅

2009年に長期優良住宅が始まります。この省エネの基準も断熱等性能等級4となり、変更はありませんでした。次世代省エネ基準で、大幅に日本の断熱性能が上がったものの、世界水準からみれば、大幅に遅れをとることになります。またこの基準が長期優良住宅になったため、長らくこの基準が変わらないことにもなります。

「平成25年省エネ基準」 一次エネルギー消費量導入、外皮性能は変わらず

2013年に、省エネ法改正され、平成25年省エネ基準と呼ばれるものになりました。一次エネルギー消費量を指標とした建物全体の省エネルギー性能を評価する基準に改正しました。外皮に関しては引き続き次世代省エネ基準相当となりました。また地域区分が細分化され8区分となりました。

ZEH基準の制定、建築物省エネ法制定

東日本大震災後の更なる省エネ要求に合わせ、ZEH基準が制定され、断熱等性能等級5となりました。また省エネ法が分離され、建築関係規定の建築物省エネ法が制定されました。しかし、要求性能は変わらず、ZEHという上位基準が出来ただけに過ぎませんでした。

「平成28年省エネ基準」計算方法が変わりU値採用

2016年改正です。実は、平成25年とほとんど変わらないのです。まあ3年しか経っていないので仕方が無い部分があるのですが。計算方法が変わり、U値η値が使用されるようになりました。この基準が現行基準となりますが、性能自体は、次世代省エネ基準とほとんど変わりません。

省エネ基準説明義務化

本来なら2020年、省エネ義務化だったはずなのですが、結局できず2021年に「説明義務化」となります。講習会は積極的に行われていたため、何だったんだ!の声も多数。

長期優良住宅改正、住宅性能表示制度改正

2022年に住宅性能表示制度が変更になり、断熱等性能等級5~7が制定されました。長期優良住宅の省エネ基準が、ようやく変更になり、断熱等性能等級5となり、ZEH相当となります。

フラット35仕様書変更(断熱等性能等級4)

2023年に住宅性能表示の変更によりフラット35の要求も代わり断熱等性能等級4が求められるようになり、これで主要なものの、不整合が解消されました。

省エネ基準義務化

ついに義務化です。UA値は0.87で、Q値2.7相当・・・というわけで、次世代省エネ基準相当となります。性能が高いわけではないのですが、まずは義務化されたことに価値があります。今後、この基準が引き上げられていく予定で、2030年には、UA値を0.6に引き上げる予定となっております。これは現状のZEH相当であります。現在は、ZEHよりも高い基準が出てきており、さらなる性能向上を目指しています。


なまあず本舗設計室では、省エネ計算・設計を自社で行うことにより、性能に関する意識を高め、数字だけでない、実際の性能向上をめざしております。2025年省エネ義務化に向けて準備は万全な状態です。