木造3階建ての耐震補強事例

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木造3階建ての耐震補強事例と補強方法

なまあず本舗の木造3階建ての耐震補強事例

いしづか
いしづか

なまあず本舗設計室では、過去の多くの構造設計実績と耐震診断実績から独自に耐震診断技術を磨き、多くの診断・補強を行ってきました。ここではその例を紹介します。前の記事はこちら
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I様邸の事例(平成17年)


1階平面概要 右側がガレージで、横方向の壁がほとんどない

府中市のI様は、木造3階建てを購入して住んでいましたが、前面道路の車の通行による振動がひどく、悩んでいらっしゃいました。そこで弊社の前身に相談があり対応いたしました。
図面を見ると、構造計算はされていますが、明らかに図面と建物が異なりました。しかも耐力壁という地震に対抗できる壁が明らかに少なかったです。完全なる違反住宅です。またビルトインガレージで2階・3階部分がオーバーハングしているという非常に無茶な設計となっていました。そしてお話しを伺っているときも、車が通ると確かに揺れます。強度不足は明らかに実感できました。
建物の構造から、壁を剥がして調査することもできず、また図面も当てにならないことから、一般診断の手法でまずは安全を確かめることとしました。精密診断にしなかったのは、明らかに調査できるデータが少なく、精密診断にしても精度が上がらないことがわかったからです。価格的にも一般のほうが安いですし、一般診断でもこの住宅の大まかな状況はわかると判断したからです。闇雲に精密診断を行うことは無益です。もし必要ならば補強計画の際に精密診断を行えばいいのです。
さて、一般診断を行いました。結果は予想通り。下表は上部構造の評価です。

評点 偏心率 その他
3階X方向  0.22  0.33  明らかにバランスが悪い
3階Y方向  1.08  0.03  ほぼ問題なし
2階X方向  0.83  0.08  オーバーハングしている
2階Y方向  1.55  0.23  ほぼ問題なし
1階X方向  0.50  0.09  図面より明かに壁が少ない
1階Y方向  1.30  0.13  筋かいも十分入っていた

Y方向は1.0以上で、耐震性に問題が少ないことがわかります。しかしX方向(横方向)が良くないです。しかも1階だけでなく、2,3階も良くありません。また3階の偏心率(建物のバランス)が悪く、揺れを増長させています。一般に偏心率が高いと、揺れが大きくなり、建物の倒壊する可能性が高まります。

I様に診断結果を報告。さっそく補強の希望がありましたので、補強案を作成しました。問題点は
・1階の壁があまりにも少ない
・3階のバランスがあまりにも悪い
購入してからそんなに期間も経っておらず予算の問題もあるので、最低限で効果的な補強を要望されたので、以下のような補強案を提示しました。

・3階はバランス矯正のため、弱い側の壁を強い壁に交換
・2階は今回は施工しない
・1階は、ビルトインガレージの前面は方杖補強、工法はブレース補強を行い、さらに揺れに対しては仕口ダンパーを利用して揺れを押さえる。玄関横の窓をつぶし、壁を作る。また1階柱を増設し、2階オーバーハング部分の荷重を受けるようにする

文章で書くと簡単なのですが、そんなに簡単ではなかったです。

基礎の施工

鉄筋コンクリート基礎が施工され、劣化もありませんが、新規にブレースなどを取り付ける基礎がないため、増設しなければなりません。配管などもあったりして理想的な形状にはなかなかしにくいのですが、現場調査と、施工者の意見を聞きながら、掘りながら設計します。耐震補強は概して壊してからでなければわからないことが多く、設計図が絵空事になりかねません。現場が大切です。

独立柱の施工


オーバーハング部下に鉄骨柱を立てました。本来は木造で行うべきところなのですが、雨仕舞と防水を考え鉄骨としました。ただし部分的に強くなりすぎないよう配慮して施工しました。これで上部の揺れはかなり減ります。ちなみに鉄骨の梁を入れたわみも抑えています。

??箇所の発見

施工中は、新築時のおかしな施工を発見し思わず目を覆いたくなることがあります。これは配管があるので、梁を途中で切ってしまった最悪の例です。補強しておきましたが、このような施工はあってはならないことです。

これは窓を設置するため、筋かいを途中で切ってしまったようです。これでは耐震性が台無しです。大工さんもびっくりしていました。

方杖の施工


車庫の出入り口は、壁を設置することができないので、方杖を施工しました。そのまま施工すると柱が折れる可能性があるので、柱を一本抱かせて、そこに施工しました。上部の梁のサイズは問題なかったので割合スムーズに施工できました。車庫が若干狭まったので出入りが難しくなりましたが、現状なんとか出入りできる状態になりました。これで前面の耐震性がかなりアップすることになります。
今回は外壁がモルタルだったのでラスカットで覆ってモルタル塗りしやすくしています。

コボットの設置

車庫の奥側は出入りすることはないということだったので、ステンレスブレースのコボットで施工しています。
ステンレスは錆びにくく理想的な素材なのですが、木部との取り合いで、防水面に非常に気を遣います。何重にも防水し、耐久性にも気を配りました。基礎を立ち上げて柱も増設しています。

施工は約1ヶ月。もっとも左官や基礎に時間がかかって木工事はあまり時間がかかりませんでした。室内の工事は3階のみだったので、生活への影響も少なかったです(とういのは設計者側の考えで、どんな工事でも生活の影響がないことはありません)。

さて、補強後の診断を行いました。結果は予想通り。

評点 偏心率 その他
3階X方向  0.85  0.27 ちょっとだけバランス改善
3階Y方向  1.30  0.03  ほぼ問題なし
2階X方向  0.90  0.08  オーバーハングがなくなった
2階Y方向  1.65  0.23  ほぼ問題なし
1階X方向  1.00  0.01  1.0を満たすようになった
1階Y方向  1.40  0.04  筋かいも十分入っていた

施工中にわかった項目も織り込んでいるために、施工していない部分も評点が変わってきています。残念ながら全方向1.0を満たすことは出来ませんでしたが、1階部分の強化は十分に行えました。3階もかなり評点が改善しました。
施工後の訪問で、交通振動が激減したということです。実は耐震補強で、特別な交通振動対策は打っていません。しかし耐震性が不足した建物と耐震性がある建物では、明らかに揺れが変わるそうです。この点は非常に驚かれていました。1階X方向の評点が劇的に改善されることによって、耐震性がアップし、交通振動が減ったことによって快適性も手に入れることができました。

総費用:200万円以内(診断費用・補強設計費込)
施工:小竹工務店(府中市)

いしづか
いしづか

この耐震補強は、私が経験した最初の木造三階建ての耐震補強です。施主の悩みは深刻でしたが、比較的時間を与えて頂けたため、様々なことを検証し、その時点で出来る限りのことができました。またいつも木造2階建てで世話になっている工務店さんなので、安心して工事に臨むことができました。思い出深い現場です。

O様邸の事例(平成24年)

<概要>
ネットで当設計室を探してくださったO様。ちょっと遠かったのですが耐震診断を引き受けることになりました。O様邸は、I様邸と異なり、完了検査も受けていて、構造図も現存していました。なので現地診断前に、構造計算ソフトで解析してみました。構造計算書はなかったので。そして青本という旧来の計算方法で計算されていること、金物、梁せい、壁倍率など特に問題ないことがわかりました。

ただし、垂れ壁に施工不明な壁倍率が入力されていました。この部分が怪しいと感じました。他に、耐震診断ソフトで予備入力を行い、現地調査前に、どこが弱いのか?どこを調査しなければならないか、徹底的にシミュレーションしました。なにせ、遠方なので現地調査を複数回するわけにもいかないので事前の準備は重要です。

現地調査です。I邸の時と違い、床がしっかりしているなと思いました。また歩いた時の振動も少なめで、さすがに根太レス工法で外壁ダイライトの威力を感じます。完了検査を受けているだけあって図面と現状はほぼ合っています。

現地調査は一般診断法を利用。しかし劣化部分も少ないので精密診断法1にデータ流用できるように調査しました。これも精密診断法1にすると価格が上昇すること、完了検査を行っていることから、ある程度の図面の信頼性、構造図通りに施工されていることから決めました。

ただ当初の予測とは異なり、あまり悪いところは見つかりません。ただ雨漏りしやすい構造になっていました。案の定、何回か雨漏りしているそうです。これは構造というよりプランの問題です。見た目や売りやすさでこういう作りにしている建物は多く見かけますが、できれば避けた方が無難です。
ビルトインガレージがあり、道路側が非常に弱い構造となっています。実際、道路側が揺れやすいです。計算上も偏心率があまり良くないことから、ここが悪いと断定できました。逆に他の部分では特に問題点を見つけることは出来ませんでした。

今回も非破壊検査ということで、サーモグラフィーを調査に投入しました。サーモグラフィーは雨漏りなどを調査する道具ですが、室内壁の筋かいを調査することもできます。また雨漏り箇所の進行度合いなども発見するために有効だと思います。実際、過去の雨漏り箇所はピンポイントに見つかりましたし、室内筋かいの位置、方向などが図面通りになっていることを、確認できました。部材サイズも含め図面は信頼できるようです。

実際の診断点は割愛します。なぜなら評点1.0を満たしているからです。しかしながら1階の開口部に疑念が残る上、やはり補強の必要性を感じました。私はわからなかったのですが、遠方に感じる交通振動というのがあるらしいので、やはり振動には弱いようなのです。

補強案は2つ提示。一つは、道路側の壁を全面的にやり直し、ビルトインガレージ内を補強するもの。もう一つはビルトインガレージ表面に方杖を施工し、内部は仕口ダンパーで揺れを軽減させるというものです。すでに耐震性はみたしていることから、後者でもそれなりの効果が見込める上、施工日数は2日と抑え、価格も抑えられるので後者をO様は選択しました。

仕口ダンパーの施工

ビルトインガレージの天井を剥がし施工。天井高に余裕があったので、若干天井を下げて施工しました。そのため出っ張りがなくてすっきりしました。計6個つけ、揺れやすい部分の振動を吸収します。

方杖

方杖施工です。やはりただの垂れ壁でした。そのため完了検査は通っていても実際の強度は大幅に不足していました。方杖で補強することによってゆがみを減らし、振動を減らします。また特殊な施工を行い、揺れを大幅に減らすことに成功しました。

くぎがない??

耐震性の優れた素材である、ダイライトですが、釘を打っていなければ強度がでません。耐力壁部のダイライトの上部に、釘打ちを忘れた箇所がありました。完了検査(構造は中間検査)を受けたとはいえ、検査員もこんな部分をすべて見ているわけではありません。非常に怖いですね。大工さんに釘を打ってもらいました。

2日間で終わり、診断費用込みで約70万円ほどとリーズナブルで収まりました。これは完了検査を受けた物件だったからに他なりません。しかしながら、施工不良や垂れ壁の件で、実際上がると思った評点もほとんど上がりませんでした。もちろん既存の耐震診断結果から減点すべき事項が見つかったからであって、この補強が効果的でないか?とは別問題です。実際はかなりの強度アップとなります。工事を多くしなくても、設計で何とかなることがある!という良い例です。

さて、終わった数日後、O様を訪問しました。交通振動がほとんどなくなったことにびっくりしていました。実際耐力壁の設置は一箇所もなく(方杖は1箇所)、仕口ダンパー以外は特に特殊な部材を使っているわけでもありません。偏心率が改善されているので、振動も減り、雨漏りなどの劣化も減ると思われます。

いしづか
いしづか

正直に言うと、仕口ダンパーは耐震補強には寄与しますが、交通振動に影響ないと思います。また方杖補強は耐震補強にそれほど寄与していないと思います。それでもO様は体感で大幅に変わったと感じていました。交通振動に関しては方杖が建物正面の微振動を押さえるのに効果があったものだと思います。そのうえで仕口ダンパーで耐震性をアップしていますので、安価ながら効果的だったと感じています。

H様邸の事例(平成25年)

<概要>
ネットで当設計室を探してくださったH様は、初めてメールを頂いたころは引き渡し前!!そうです。新築の木造3階建てを購入し引越前という段階でした。ビルトインガレージに不安を感じたそうです。その後、実際に1ヶ月ほど住んでみてから、揺れが非常に気になるとのメールを頂きました。その後メールのやりとりを何回か繰り返し耐震診断を行うことになりました。新築の木造3階建ては、建売とはいえ、構造計算もされており、中間検査・完了検査も取っています。個人的には、大きな心配はないと思っていました。

さて、診断法は、一般診断法。新築なので劣化はないものとして調査しました。また部材寸法、金物などは図面通りになっていることを仮定して行いました。現地調査の感想は、ちょっと雑な施工が目につきました。そして2点不可解な部分がありました。まず玄関・ビルトインガレージ部のスパン、2階リビングと階段と吹抜け付近です。

戻ってから、構造計算書を精査。実際に構造計算ソフトで再現もしました。ふつうに問題ないものでした。診断結果も予想通り。こちらも問題ありません(評点は1を大きく上回るのでここでは書きません)。

ただ構造図を見ると、H様邸の構造的問題点が浮かび上がってきます。O様が不安視していたとおり、揺れやすいのです。構造計算的には問題ないのですが・・・そういう問題ではありません。そして安全性を考える上での「保険」的要素が不足していることも気になりました。

鉄骨造などと異なり、木造では、1箇所が壊れたからといって即倒壊するような構造になっていないのが普通です。しかし強度の高い部材を利用して基本壊れにくくはしているのですが、そこに荷重が集中するような設計になっていました。補強計画は、この集中した荷重をいかに分散し、揺れにくくするか?を重点に行いました。幸い、構造耐力には余裕がありますから。ない場合は壁の新設などが必要になります。

<補強の様子>
補強工事は、1月の寒い週末に、内部工事1日、外部工事1日、その他2日(塗装・モルタル補修)でした。その他2日は短時間です。基本的な工事は2日間で終わりました。外部工事は車を動かさなければできない工事でしたので、仕事がお休みの日に工事しました。

吹抜けの様子。階段手すり左部に柱を新設し、揺れにくくしました。能力の高い職人さん達の合わせ技により、新築同様に仕上がりました。吹抜け上部には火打を入れました。耐火性能が落ちないように、石膏ボードでくるみ、クロスで仕上げました。

玄関の補強は鉄骨柱を一本立てました。正直なぜ入っていないか?疑問です。これだけで大幅に振動が減ります。念のため左右の垂れ壁内に仕口ダンパーを設置しました。内部に収まったため外から見たら、工事したことすらわかりません。

実質的に柱を2本入れただけの工事でしたが、かなり難しい工事でした。後からの工事の難しさを改めて感じます。ただ、思った以上に効果があったようです。H様は、揺れが減ったことを十分に体感できたといっています。そう感じていただければ幸いなのですが、良く考えれば新築時に設計者が配慮しておけば済む話だったわけで、ちょっと複雑な気分です。費用は100万円でおつりが来る(構造計算チェック・診断・補強・工事込)・・・決して手軽な費用ではありません。外部工事にだいぶ費用がかかってしまいました。仕上げ面でも非常に気を遣わなければならない(新築ですから)のも作業を難しくしていました。

 

いしづか
いしづか

構造計算まわればいい!という構造計算万能主義がまかり通りはじめています。しかし構造計算だけでは安全な住宅を設計するには不十分ということを示した案件でした。我々も構造計算だけでなく、耐震診断だけでなく、もっと気を遣い、安全な建物を建てる努力をしなければと、改めて感じました。

O様邸の事例(平成25年)

<概要>
ネットを見て当設計室にご連絡いただきましたO様。ちょっと古めの木造3階建てに長年住まわれたお客様でした。耐震性が心配ということで、すぐに当設計室に御来所いただきました。通常耐震補強というと、現場を見ないと判断できないことから、お客様の家で・・・というのが普通なのですが。それだけO様の真剣さが伝わってきます。

確認申請の図面と、構造計算書、竣工図がありました。確認申請の図面と計算書も異なり、更に竣工図とも異なる・・・と何を信じて良いのか?わからなかったのですが、どうやら業者さんは竣工図は比較的正しく作っていたようで、診断もこれを基本に行うことになりました。当然構造計算書とは大幅に異なり、強度も著しく弱かったです。

診断を行い、補強計画を建てました。比較的年数も経っているので、リフォーム同時にということで、床暖房や、キッチンの新調、など同時に行なうことにしました。当初は少ない予算で・・・といっていたのですが、結果的になかなかこのような機会はない!ということで、思い切って大規模なリフォームとなりました。

補強のポイントは、壁を新設できるところが特に道路面にはすくないので、開口フレームを1,2階に入れました。逆に壁面が多い、南西面を中心に耐力壁補強を行いました。

<補強の様子>
リフォームを兼ねたため、耐震部分以外の工事もあり、2ヶ月以上かかってしまいました。

玄関部の開口フレーム。道路側は玄関と車庫が並び、耐力壁を新設する箇所がありません。そこで、開口部を設けたまま、強度を増やせる、J耐震開口フレームを取り付け、玄関扉も新調しました。ちょうどドアが入るスペースが作れたので、非常にすっきりと収まりました。


二階の出窓。幸い木で出窓を作っていたため、それほど大きな加工もなく、開口フレームを取り付けることができました。始めは金属ブレースを考えていたのですが、やはり見栄えと、いざというときの搬入・搬出の窓にしたいとのことで、開口フレームに変更しました。非常に納まりが良く、工事後はつけたことを忘れるくらい良い状態でした。

設計図と異なるところが多く、特に仕様まで違うというのは、非常に設計・施工を大変なものにしました。普段なら、近距離の仕事が多く、事務所に戻って検討・・・ということも簡単なのですが、往復2時間以上かかる現場だと、それもできません。距離も含め、難しい現場でした。

O様も仕上がり、耐震性ともに満足いただけたようで良かったです。揺れも我々が予想したよりも納まったようです。このような感想は、技術者として非常に嬉しいものです。

いしづか
いしづか

言うまでもなく耐震補強は地震対策であって、交通振動対策でも生活振動対策でもありません。しかしこの頃になると、その効果がかなり住んでいる人にとって体感できるものだと感じられるようになりました。

M様邸の事例(平成29年)

<概要>近所ということもあり、電話やメールで相談を受けていたM様。お洒落な感じの木造3階建てでしたが、木造2階建てを3階建てにした違法3階建てでした。そのため揺れが大きいなど問題が発生していました。図面と現状は大分違いました。そこで耐震診断を行い補強箇所を選定しました。玄関の真上がオーバーハングしている状態でした。また外壁がタイルで屋根も瓦のため重い建物で地震には不利な条件が重なっていました。

補強設計は玄関周りの補強方法から入りました。若干外壁を増やし強くしました。タイルはある程度再利用ができたので、外見の違いは最低限で済みました。1階のご主人の寝室は雰囲気を壊さないように内壁補強の上仕上げを戻しました。屋根も軽量化しました。
元々木造2階建てという建物の補強はやはり難しいです。今回も耐震補強に手慣れた工務店のおかげでスムーズに進んで良かったです。

いしづか
いしづか

若い所員のデビュー現場となりました。毎日自転車などで通って熱心に写真を撮っていたのを思い出します。3階の部屋の重量物を下ろすように忠告したのですが、なかなかうまくいかなかったので、この物件以降は、診断中から口酸っぱく上階の荷物について話すようになりました。

W様邸の事例(2015,2020年)

<概要>下町のW様からメールで耐震相談を受けていたのですが、遠隔地ながら可能と判断し2014ねn12月に耐震診断を行いました。1階が2部屋賃貸で貸している状態で、2,3階にW様が住んでいる状態で非常に特殊な案件でした。木造2階建て申請で木造3階建てとなっており、非常に危険な状態でした。
まず一期目で、空き部屋となった1階の片方の部屋と、2階部分の補強を行いました。1階の片方の部屋を補強できない状態なので、その一期工事で危険側にならないように配慮しました。二期目の工事概要を予め想定して設計を行ったのですが、非常に難しかったです。
二期目の工事も幸い大地震が発生することなく、もう一方の部屋が空き部屋になったので工事を開始。今度は天井部分と界壁部分の耐火性能を上げ、若干ながら火災にも配慮しました。実際には2,3階は火災配慮できていませんが、下階住人からの火災に対して対策ができたのは良かったです。
このように一回の工事で無理な場合でも分割で補強することもできますので、ご相談ください。

いしづか
いしづか

2期に分けて補強すると言うことは、その間に地震が起きたら怖いということです。なのでいたずらにバランスが崩れるような二期工事は提案できません。また違法3階で準耐火になっていないことも懸案事項でした。非常に難しい案件でしたが、やりおえてホッとしています。

M様邸の事例(2020年)

<概要>木造2階建ての小屋部分を改造して木造3階建てとした建物で、1階部分が2台平行で置ける車庫となっており、北側一面耐力壁がない構造でした。梁・柱は十分に大きなものを利用していて、一見不安がないように見えるのですが、2階だ歩いてみると怖さを感じました。
耐震診断後、1,2階を補強しました。予算の関係で全階全方向1.0は確保出来ませんでしたが、1階の車庫を1つ潰して、外階段を内階段に付け替え、玄関を作ることで住みやすい環境にしたうえで、耐力壁を設けることで耐震性をアップすることができました。
車庫をつぶしての補強は強度アップできるだけでなく、新たな用途を発生させることができます。せっかく車庫をつぶすわけですから、それにみあう用途を発生できないと意味がありません。その意味ではM様邸は非常に理想的でした。

いしづか
いしづか

この物件、見るからに非常に危険でした。どうやって持っているか?診断中も非常に興味を持っていました。昔ながらの職人の工夫が垣間見られた建物でした。しかし耐震性が低いのも事実です。ちなみに補強後は、貸家として貸しましたが旧知の不動産会社に客付けを依頼し無事に気に入った方に入っていただきました。

M様邸の事例(2020年)

<概要>ツーバイフォー3階建てを購入したM様の要望で、1階一部の壁を減らし、全体として構造計算が成り立つ形にしたリフォームです。壁を抜くリフォームなので構造計算をし直しました。
一部とはいえ壁を抜くわけですから慎重に行わなければなりません。施工会社と打ち合わせを重ね、結果的に従来よりも耐震性がでる形となりました。
ツーバイフォーでも壁が抜けるケースはあります。もちろん壁で区画しているので抜けない壁も多いのですが、ツーバイフォーだから無理というわけではなく、在来木造と変わりません(難易度が高いのも変わりません)。

いしづか
いしづか

ツーバイフォーの耐震補強はいろいろ経験していましたが、木造3階建ては初めてでした。しかし原則は一緒です。意外とスムーズに補強設計も補強工事も終えることができました。

Tビルの事例(2021年)

<概要>木造3階建て雑居ビルの耐震補強。入居者が抜けたため工事ができるということで急遽工事。耐震診断する時間が無かったので、ほぼ図面通りということで診断・補強案を作成して工事に入りました。解体時に図面通りということを確認して、現場で打ち合わせを複数回行い、補強工事を行いました。

いしづか
いしづか

巨大な木造3階建てのビルです。このような案件は初めてでした。広いことがこんなに難しいとは思いませんでした。しかしオーナーの熱意と社員さん達の協力によって補強工事を完了することができました。ある程度内壁を解体しての診断でしたので、じっくり補強計画を練ることができました。現場の職人さんたちは耐震補強はほとんど経験ありませんでしたが熱心に勉強してくださって本当に頭が下がる思いです。

A計画(2023年)

<概要>友人の仕事のお手伝いで、木造3階建ての耐震診断/補強設計を行いました。青本時代の古い木造3階建てでビルトインガレージもありました。構造図・計算書はないものの、耐震診断を行ったら、概ね計算内容に合致している金物・壁量でした。しかしながらリフォームを行っており、その際に抜いた壁などで強度不足になっていました。そのため、その部分とビルトインガレージ側の補強を行い、理想的な補強が行えました。

いしづか
いしづか

2000年前後の建売住宅で、比較的しっかりした工事がされていました。ただ筋かいの切り欠き、金物の干渉など、木造3階建てならではの施工不良も散見されました。この時代の木造3階建ての本格的な補強は、ある程度解体しないと難しいと実感しました。

N様邸(2023年)

<概要>ビルダー紹介できた、木造3階建て。ちょっと独特の構造でビルトインガレージがあり、揺れや雨漏りに悩んでおりました。リフォームを機に耐震補強を行いたいと言うことで、耐震診断と補強設計を行いました。雨漏りが多くシロアリが発生していました。古い木造3階建ては雨仕舞いがしっかりしていないので、この傾向は多いです。また吹き抜けなどで水平構面を確保出来ず揺れが増えていました。耐力壁の施工及び、水平構面の補強を行いました。