ツーバイフォー耐震診断

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ツーバイフォーの耐震診断・補強

ツーバイフォー(2×4:枠組壁工法)は地震に強いから心配ない?

一般的にツーバイフォー住宅(枠組壁工法住宅)は地震に強いです。個人的に過去の診断事例を総合すると、ツーバイフォーは木造在来住宅の評点の倍以上の評点がでていることが多いです。理由は、築年数が比較的新しいこともあるのですが、全般的に壁が多く箱状の建物が多いので、耐震診断には有利に働くから です。実際強いと思います。
しかしながらツーバイフォーにも弱点があります。特に古い年度ですと、施工方法を熟知しておらず、変な設計・施工が多く見られること、雨漏り・水漏れに弱い工 法であること、比較的腐りやすい材料を使っているのに密閉性が高い事、などです。設計の問題、施工の問題、メンテナンスの問題の3つです。

ツーバイフォーの設計の問題

ツーバイフォーは一般の木造住宅より細かい決めごとがあり、そのおかげで耐震性が高いといえます。よって、その決めごとを守っていなければ、耐震性が低い建物となります。
悲しいことに、きちんとルール(告示)を守っていない建物も多いのです。特に木造2階建ては構造の審査が省略されていますので、壁の数だけで設計してしまう粗悪なものも残念ながら存在します。そのようなツーバイフォーは、ツーバイフォーであっても地震に弱いです。それ以外の欠陥もあるかもしれません。
告示無視で建てられている建物は非常に不安です。ツーバイフォーの告示がわかる専門家に相談したほうが良いです。

施工の問題

初期の頃のツーバイフォーは、情報量が少なく、非常に適当に作られていました。2×4材を使っているだけ、というものも数多く見られました。また当時としては気密性が高かったこと、防水技術が甘かったことから、内部が腐ってしまうケースも散見されました。きちんと施工すれば、木造在来に劣る部分はほとんどないのですが。
相談でツーバイフォーなのですが・・・という場合に、実際はツーバイフォーでないケースは多いです。そのような建物が減っていくことを願ってやみません。

メンテナンスの問題

一般の木造住宅より使っている木の量は多いのですが、心材を使っていないので腐りやすいといわれています。それなら現在の集成材の建物もそうでしょう、といえばそれまでなのですが、一般の木造住宅より細い材料を使っているので、雨漏りなどから腐るスピードは全般的に速いといえます。築5年程度でもかなり腐って・・・という物件は見かけます。雨漏りなど水の流入を防げればいいのですが、長期間立ち続けている建物にとっては酷な環境。従って雨漏りしたらすぐに修理・・・という姿勢が大切です。

気密性が高い為、内部に水が入ると一気に腐る可能性があるので要注意です。

日本建築防災協会の耐震診断は??

財団法人日本建築防災協会の耐震診断マニュアルである「木造住宅の耐震診断と補強方法」は正式にツーバイフォー工法に対応しています。ただし、このマニュアルは在来工法の記述が大半であり、ツーバイフォーについて言及している部分は少ないです。また耐震診断をやるうえで、告示は必ず押さえなければなら ないのですが、在来よりも難解で熟知している設計者は稀です。また調査出来る箇所も少ないので、耐震診断技術者の中でツーバイフォーの耐震診断を行える方 は少数です。在来木造に比べて目視で見える範囲が狭いので、建築年毎のツーバイフォーの仕様に詳しくなければ診断できません。

なまあず本舗設計室のツーバイフォーの耐震診断の特徴

なまあず本舗のツーバイフォー耐震診断ではお馴染みの磁石での釘ピッチ検査。。

なまあず本舗設計室は、ツーバイフォーの構造計算もできる設計事務所です。そのためツーバイフォー工法を熟知しており、診断もその知識を利用して精度を 高めております。精密診断法では、サーモグラフィー調査を標準採用し、水漏れや雨漏りのチェック、部材チェックを非破壊で行う大変お得で精度の高い診断を 実施しております。一般診断レベルでは雨漏りや腐りを見つけるのは困難です。サーモグラフィーの調査は単体だと非常に高いです。なまあず本舗設計室のツー バイフォーの耐震診断は非常にお得で信頼性の高い診断です。

サーモグラフィーを使って非破壊検査も重要です。

また施工がいくらよくても構造計画がよくなければ、せっかくのツーバイフォー工法も片手落ちです。なまあず本舗設計室では、ツーバイフォーの設計に必要な告示のチェックも行い、構造計画もチェックします。耐震診断ソフトではチェックされない告示もチェックすることによって、本来のツーバイフォーの強度が発揮できているか?確認しています。

ツーバイフォーの耐震補強方法

ツーバイフォーの耐震補強は、古い住宅の場合、既にある耐震壁の性能を上げることから考えます。古いツーバイフォーは過去の調査結果から、釘ピッチが守られていないものがほとんどです。ツーバイフォー住宅は面(構造用合板や石膏ボードなど)で箱を作るようになっているので地震に強いといわれていますが、止めつけは釘で、建物の地震に対するは面材より先に降伏する釘の強さで決まってきます。よって正しい釘ピッチは重要です。まずは、診断結果で釘ピッチが守られていない場合、そのピッチを補正するため、クロスを剥がし釘を増打ちします。これだけで、評点が大幅に改善した事例もあります。間取りなどを変更せずにグレードアップするのでお勧めです。
次に既存の壁を交換するケース。基本的には内部の石膏ボードを構造用合板などに交換して正規の釘ピッチで施工します。在来工法ほどアップは望めませんが、施工は在来工法より手軽でコストもかからないのがメリットです。
次に追加の壁を作るケース。他社の事例を見るとツーバイフォーのルールを無視した補強が多いです。ルールを守らないと例え筋かいを増設したとしても、効果がないどころか、逆に危険度を増しているケースを見かけます。やはりツーバイフォーのルールを知っている設計者と施工者に任せた方が無難です。基本的には床・天井を剥がし、スタッドを入れる前に上部に地震力を伝達できる梁や頭つなぎ、足元は下部に地震力を伝達する梁や土台を施工します。ただ壁を入れても意味がありません。そのうえで、必要金物を柱脚に取り付け、上部も必要な補強をしたうえで、新規の壁を施工します。前の二つの手法に比べ、在来よりも手数がかかり時間とコスト面では不利です。耐力壁線や区画・まぐさを考えていくので、設計の知識も必要です。

せっこうボードを剥がしたところ。きれいに剥がさないとスタッドが割れてしまい補強できません。

スタッドは、細くて割れやすいので剥がす場合は最新の注意が必要です。写真は、スタッドだけ残して石膏ボードを剥がしたところ。このあと柱脚金物を確認し、構造用合板を取り付け、必要釘を打ち付けます。
ツーバイフォーに慣れた職人さんでないと、スタッドを割ってしまったりします。なまあず本舗設計室では、ツーバイフォーの新築・リフォームに慣れた施工者と組んで施工を行っております。

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