おはようございます。2週連続で三連休がある9月です。子どもたちは落ち着かないかもしれませんが、こちらも仕事の日程が複雑になって難しい季節でもあります。
台風15号の被害は大きく特に千葉では停電を伴いなかなか復旧が進まないようです。時折入ってくる写真では、たくさんの家の屋根が壊れているものも。建物の強度と異なり屋根の強度は比較的一定で(地域毎に差はあるとは言え)、なかなか壊れないはずなのですが、壊れる強風のときは、数多く同じような被害がでやすいことがポイントです。
また地域毎で屋根の施工方法は特徴があるので、地震のときもそうですが、屋根が壊れやすい地域がありそうなのもなんとなくわかると思います。
台風の被害は停電や屋根だけではありません。飛散物による壁や窓ガラスの破損もあります。そのような被害がネットやテレビで放映されるにつれて、耐風等級に注目が集まっています。
耐風等級とは、建築基準法を満たしつつ、品確法(住宅の品質確保の促進等に関する法律)で規定されている風に対する性能のことで、1(建築基準法同等)と2が定められています。建築基準法では、「極めてまれに発生する暴風による力に倒壊、崩壊せず」、「まれに発生する暴風による力に対して損傷しない」、と、極めて曖昧に定められています。極めてまれに、が500年に一度程度、まれに、が50年に一度程度ですが、近年は過去に類がないものが多数発生しているので、さすがに曖昧だけでなく不足感がでてきそうな感じもします。
そこで、品確法の耐風等級では、等級1(基準法)の1.2倍の力に対抗できる・・・としています。地震に比べ、損傷はするけど倒壊があまりないので、それほど厳しい基準にはなっていません。というより、地震に比べ、建築基準法の耐風性能が木造住宅に限れば比較的妥当でなのでそうなっているのだと思います。
また耐震等級も耐風等級も基本的には壁量の規定なので、屋根やガラスの割れなどにはそれほど影響がないです。また耐震性を高めた現在の住宅は、設計上、風に弱いように作らない限り壁量が不足することはないので、耐震性を上げておけば大丈夫です。耐風等級を取得する必要はあまり感じません。
ただし、風と地震では特性が違うので、風に対する対策は別途講じる必要があります。まず飛散物で傷がつかないように、シャッターや雨戸は必須だと思います。隣地と壁が近い部分などは良いと思いますが。大きな窓、掃き出しは必ず設けるようにしましょう。割れの心配だけでなく、風雨が入り込んできたり、音がうるさかったりしますので。屋根に関してはできるだけ風に強い仕様にしましょう。コロニアル等でも通常仕様ではなく風に強い仕様にすることができます。金額もそれほど上がらないので、このようなところをケチらないようにしましょう。また風が壁面や屋根に当たるときに、建物に影響が少ないような形状にしたいところです。具体的にはあまり最高高さを高くしないとか、風雨を受ける壁面をあまり広くしないとか、風の吹き込む庇をあまり大きくしないとか。この当たりは設計者と相談のうえ、決めればいいと思っていたのですが、意外と考慮しない設計者が多く苦慮しています・・・。またアンテナや突起物、庭やバルコニーに置いてある物、物干し竿、カーポートなども弱点になるときがあります。大きな台風のときはできるだけ屋内に取り込んだり、固定したり、工夫が必要です。そのような対策の1つ1つが災害の影響を小さくすることに有効ですので、1人1人が気をつけて行きたいものですね。