スケルトンリフォームで、耐震等級3相当を手に入れる方法

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こんにちは。先日S様邸(小金井市)の耐震リフォーム工事が無事終了しました。暑い中、職人さんたちが本当によく頑張ってくれました。残工事(後日決定した内窓)がありますが、耐震性も含め非常によい工事になったのではないでしょうか?

さて、既存木造住宅を耐震等級3実現したいという方が増えています。言葉上ではなく、実際の手法として、弊社の場合、スケルトンリフォームの場合のみ、耐震等級3相当を可能にしますと回答しています。相当というのは、壁量の1.5倍のような「なんちゃって」ではなく、根拠のある方法で実現します。しかし古材を活用することは構造計算では特に考慮されていないので、どうしてもこの言い方になります。

まず、耐震診断を行い、リフォーム案を作成し、構造計算ソフトに入力し、仮想の耐震等級3のプラを作成します。その際、不確定要素はできるだけ不利側で設計し、無理のない構造プランを優先します。この作業が異常に面倒ですが、あとで影響が大きいのでできる限りシミュレーションします。

解体をしたあと、使える部材と使えない部材を印し、梁伏図を作成します。仮想の構造計算データと照合し、さらに使えない部材を削除し、現状を考慮して、再度構造計算データを作成し、耐震等級3を実現できるようにします。計算データより基礎の補強・追加を行います。

言葉で言うのは簡単ですが、既存の部材でNGになる場合はやっかいです。なので、できるだけNGにならないような設計をすることが大切です。そこで大幅に予算が変わります。

実際、既存住宅のリフォーム時の構造計算をやってみて、本当に大変でした。まず木造の梁は、計算してみるとNGが多く厳しいです。特に下階柱がなく上階に耐力壁がある場合はかなり乖離があります。これは通常の設計では地震力を梁に加えて検討しないためです。これはプレカットなどで新築の木造伏図を作っているときも同様です。

また基礎も、新設はまだ良いのですが、既存を補強するのはかなり無理があります。よく耐震補強の標準図を応用して基礎補強している方がいますが、実際計算してみるとNGだったりします。なので軽々しくリフォームで耐震等級3を実現!などと言わない方がよいかと思います。スケルトンリフォームならある程度新築に近づけることは可能ですが、やはり新築とは違うのです。そのあたり設計者側も依頼者側も気をつけた方が良いかと思います。