2月13日の地震について(福島県沖地震)

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2021年2月13日23時08分頃、福島県沖を震源とする最大震度6強の強い地震が発生しました。被災者の皆様にお見舞い申し上げます。東京でも非常に長い揺れを体感できました(わが家では震度4クラスと体感)。

この地震は、大きさの割にラッキーなことが重なって、特に人的被害、建物倒壊が少ない地震となりました。最大震度6強が1人歩きして、「日本の建物は本当に地震に強くなったな」などというSNS発言も多数見られ、そう思った方もいらっしゃったかもしれません。しかし精査してみると、そのようなことではないことが分かります。

まずマグニチュードが7.3と海洋性の大地震の中では比較的小さいことが挙げられます。海底を震源とする地震は当然海の中で、都市部とは離れています。阪神淡路大震災もマグニチュード7.3でしたが、淡路島北部と神戸や都市に近い地震に比べて被害がでにくいのです。また同じM7.3でも阪神淡路大震災は深さが16kmと浅く断層関連であるのに対し、今回は震源深さが60kmほどと深かったのも被害が少ない原因となりました。また沈み込む太平洋プレート内部で発生しました。通常、海底で起きた地震でマグニチュードが7を超えると津波が発生しますが、今回は深いので発生しませんでした(多少の海面変動はあったと思いますが)。

地震の揺れの強さは本当に強かったのですが、木造住宅に多大な影響を及ぼすと考えられているキラーパルスから外れており(これは東日本大震災と似ている)、地震動周期は1秒以下の短周期が主成分となっていたことで、揺れでの怖さの割に建物倒壊などが少ない揺れのようでした。逆に長周期地震動の揺れは、階級4(福島県中通り)と、2013年に観測が始まって以来4回目のこととなり、マンション、高層ビルなどでは非常に怖い揺れを体感したと思われます。事実Twitterなどでもマンションでの恐怖報告が多数挙げられているので、実際にその傾向が見られた地震でした。一見矛盾する見解に見えますが、地震の揺れは震度だけでなく様々な要素がありますし、場所や地盤特性によっても揺れ方も変わってきます。いちがいに震度6強でも大丈夫だったと思わないでいただけたら、幸いです。

これからも日本では、大きな地震が発生は続くと思います。これは東日本大震災の余震が・・・という話ではなく、過去からの地震の歴史を見ると、この先大地震がないと思う方が不自然です。比較的大きな地震が続いたこの10年ですが、幸い大都市直撃の、すざましい地震は発生していません。そのこと自体は幸運なことですが、これから先もそのようになるとは考えられないのも事実です。地震対策は新築・既存を問わず大切であり、なまあず本舗設計室では、引き続き、地震に強い住宅の研究・設計を続けていきたいと思っております。