ブロック塀は危険なもの

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大阪の地震でブロック塀の倒壊で死者が出た件、特に子どもだったとこともありクローズアップされています。ただブロック塀の倒壊は各地震で珍しいことではなく、非常に頻発しています。私が初めて地震取材に出かけた宮城県北部地震のとき、一番揺れた地域のブロック塀だけでなく塀の倒壊が多数見られました。

宮城県北部地震(2003年)その1

宮城県北部地震(2003年)その2

宮城県北部地震(2003年)その3

建築基準法適法の塀がきちんと施工されるようになったのは比較的最近で、以前はバラツキがありました。また塀の耐用年数が長いため、住宅を建て直しても塀はそのままということも多く危険なブロック塀は町の至る所に残っています。

ただ、人命に影響するのは比較的高い塀です。無筋で適当であっても3段くらいならあまり危なくないことは想像できますね(怪我はするかもしれませんが)。ブロック塀を構成する、コンクリートブロックは、戦後の1952年にJIS規格化され、その後大量に生産されています。塀はどの法律・・・と思うかもしれませんが、建築基準法・同施行令で瞬時に倒れないための最低条件を規定しています。建物もそうであるようにあくまで「最低」条件です。それで十分というわけではありません。しかしながらその最低の条件も満たしていないものがたくさんあります。

塀は高さが高いほど倒れやすくなります。昔は上限が3mでしたが、各地震の教訓で現在は2.2mまでとなっています。だいぶなくなってきていますが2m超で明らかに高すぎる塀が以前はありましたね。また以前は鉄筋を入れていないブロック塀が多くありました。現在も残っています。宮城県沖地震(1978年)では、鉄筋の入っていないブロック塀の倒壊で多数の死者がでましたので、鉄筋を入れることが義務づけられました。ちなみにこの地震の全体の死者28名に対し、18名がブロック塀の下敷き等でなくなっているのでその影響は甚大だったのです。

安全なブロック塀とは?

基準法を満たせば・・・ということもあるのかもしれませんが、どうしても雨ざらしで鉄筋を入れたとしても劣化が進行しやすいので、基本的には3段以下に抑えたいです。さすがに低すぎるので柵などを上部につける・・・というのが現在のセオリーとなっております。

ブロック塀の強度を保つための条件は、高さの他に、鉄筋の有無、基礎の形状、適切な控え壁の設置(塀の高さ1.2mを超える場合は3.4m以内毎にに設置)です。見た目では1.2mを超えたブロック塀には控え壁がない場合は危険なものだと判断できます。また控え壁があっても見た目で3.4mを超える間隔のものも危険な可能性が高いです。

控え壁は非常に有効ですが、敷地内に出っ張りがでるので、特に東京のような土地が狭い地域では嫌われます。また道路に面する場合は片側にしか設置できないので、きちんと基礎を作らないと道路側に倒れやすいです。新築の場合は、控え壁がでない高さに抑える工夫が大切ですし、家を建て直すときなどは、ブロック塀が危険そうな場合は専門家に相談し、撤去等を考えた方がいいでしょう。

自分の敷地内にある場合は自分で判断できるのですが、隣地と境界上にある場合は、なかなか難しい問題が残ります。話し合いで今後どのようにしていくか?考えて行った方がいいでしょう。そして早期に対策を講じましょう。なまあず本舗設計室でもブロック塀の診断を行っております。詳しくはお問い合わせくださいませ。