こんにちは。あっという間に9月末。なまあず本舗は決算を迎えますが、皆様いかがお過ごしでしょうか?
9月は防災の日もあり、耐震等の問い合わせを多く頂きましたが、今回は鉄筋コンクリート造について解説していこうと思います。
木造より鉄筋コンクリート造のほうが頑丈、高級、素敵!と思っている方はいらっしゃると思います。しかしそうとも言い切れない部分もあります。特に古い鉄筋コンクリート造は怪しいところが多いのも事実です。
耐震性から見た場合、鉄筋コンクリート造は必ずしも強いわけではありません。まず重量が重いことから、地盤が良いところが必要となります。木造は軽量で強いのであまり杭などを使う事がないですが、鉄筋コンクリート造は杭基礎になるケースが増えます。
重いと言うことは、それだけ大きな地震力を受けなければなりません。そのため鉄筋コンクリート造が頑丈というより、頑丈に作らないと壊れてしまうということもあります。特に小さめの建物の場合、それほど耐震性が高くないものも多くあります。特にラーメン構造の鉄筋コンクリート造はその傾向が強いです。一方、壁式鉄筋コンクリート造は、地震に対しては非常に強く出来ていますので、耐震性に関しては壁式!と思っている構造屋さんは多くいると思います。
鉄筋コンクリートは重いため、それだけ部材が分厚くなりやすいです。これも欠点といえば欠点です。あまりスパンを飛ばすこともできません。
鉄筋をコンクリートで被覆して錆びないようにしているので、ヒビが入ったり、施工時に欠陥を抱えていると一気に強度が落ちたり、鉄筋が錆びやすくなって、爆裂のような現象を起こすこともあります。そうなると地震に強いか弱いかの騒ぎではなく、コンクリート片が落下してくることもあります。
上の写真は、外部階段の際のコンクリートが薄くて、内部の鉄筋が錆びて膨張してコンクリートを破壊する「爆裂」の例です。強度を出すためにたくさんの鉄筋を納めなければならないのですが、被りが薄いとこのような現象が起こります。きちんとした施工と、それをチェックする体制が重要になってきます。
下の方なら、まだ危険性がないのですが、庇とか上部にあるものが落ちてくると、頭にぶつかり大きな怪我をする可能性があります。
落ちる前に、このようにヒビが入ってきます。タイル等が貼ってあると気がつきにくいのも怖い部分です。
鉄筋コンクリート造は火に強く、風にも強いです。しかし設計・施工次第では、このような爆裂の危険性があります。現在なら大丈夫か?というと、やたら薄いデザインにしている場合などは、鉄筋の入れ方に無理が生じ、思ったよりも寿命が短くなる可能性もあります。
東日本大震災の仙台の鉄筋コンクリート造倒壊の例。あまり建物倒壊がなかった東日本大震災の仙台ですが、鉄筋コンクリート造でも倒壊しているものがありました。木造より重いので、倒壊したときの脱出は困難です。
木造、鉄骨造、RC造・・・いろいろありますが、どの構造も長所と短所があります。また用途や敷地によって、適さない構造もあります。建物を建てようと思ったときに、絶対~造がいい!みたいに考えないで、最適な建物になるように、構造から考えてみてください。我々はそのお手伝いをしております。