工事を行わないでできる木造住宅の耐震性能向上作戦!

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耐震診断でお客様の家を訪問することが多いのですが、耐震性が心配で相談される方がほとんどです(当たり前ですが)。もちろん耐震診断して補強設計を行って工事を行うのが理想的ですし、更にいえば建て替えたほうが良いことも多いです。まあそんなことは誰だって分かっていて、いまさら私になんて言われたくはないと思うのですが、経済状況、年齢、家族・・・などでそんな簡単にはいきません。

そこで、工事を行わないでできる木造住宅の耐震性向上をお話ししたいと思います。

まず、2階、小屋裏に物を置かない、置いている場合は下ろす。

これは鉄則です。物は高いところにあるほど、建物の揺れに影響を与えます。重いものは、是非1階に下ろしましょう。できれば小屋裏に物を置かないようにしましょう。2階に重い本棚やタンスを置かないようにしましょう。これはかなり有効で、やってみたら震動が減った!との声が結構ありました。実は診断中にお客様に物を減らしましょうと結構な確率でお話しするのですが、真面目な方は、耐震診断報告までにやってくださります。そうすると工事を行うまでもなく震動が減ってきた・・・ということを実感できることがあるらしいのです。あるらしい、というのはあくまで個人の感想で、自分でそう感じただけ、という可能性もあります。まあ小さな地震や交通振動でも無い限り実感するのは難しいと思うのですが・・・。元来木造住宅は2階や小屋裏に重いものを置くことは想定されていません。また床などを補強してピアノなどを置く場合もありますが、それはあくまで床だけの対策で地震対策などは講じられていないケースが多いのです。なので、ピアノを含め2階には置かないようにしましょう、ということになります。

次に、建物外壁、基礎の付近に物を置かない!

これは、耐震性に影響があるの??と思うかもしれませんが、長年かけて、湿気が溜まり建物内部に悪影響を与えるからです。実際に対策をしたらカビがなくなったという報告もあります。建物周囲に物を置きまくるのは、置き場所がなくなったら仕方がないで、長年住み続けるとつい・・・ということが多いです。しかしそこから湿気だけでなく、ネズミ、シロアリも侵入してきます。先ほどの重量物みたいな直接な影響はありませんが建物を長寿命化させること、乾燥状態を保って木が健全の状態になることは、長期的には耐震性の向上につながります。

最後に、タンスなどを減らす、もしくは固定金具などで留める

これは地震が来たときの被害の軽減のためです。最近はSNSで地震後の部屋の写真を公開する人が増えましたが、家や建物に被害がなくてもタンスなどが倒れて生活に支障がでたり、怪我したり・・・が多いです。実際先日の地震で亡くなった方も家具の倒壊が原因だったようです。まずは背の高い家具を減らすことを考え、次に必要なら固定金具などで留めることを考えてください。食器棚なども扉が地震時に開かないようなグッズも販売されています。これらを使って地震時の室内をできるだけ安全にすることを考えてみてください。

とにかく、物を減らすことが地震対策につながります。お金がないから・・・などと考えず、まずは上記3点を実行してみてください。物が減ると気持ちも晴れます。これから暖かくなってきます。新型コロナの非常事態宣言は解除されても、まだまだコロナ渦は続きます。その間にぜひ実践してみてください!!