検査済のあるツーバイフォーの耐震不足

この記事は約2分で読めます。

おはようございます。

建物は適法だから安全!といいきれないところが難しいところ。建築の専門家でも意見が分かれることもありますし、意見がわかれなくても危ないことがあります。

先日、耐震診断でお伺いしたお宅は、ツーバイフォーで壁量計算も適切、各告示も適切、施工も適切でした。しかし診断を申し込んだお客様は、部屋のクロスがひび割れて不安、とのことでした。クロスは一度も張り替えていなくて、しかもクロスの施工があまり良くなかったこともあり、まあ問題ないかな?と思い調査しました。しかし・・・。

ツーバイフォーは、在来軸組工法より、告示により構造が厳しい規定があります。それらを守れば、在来よりも安全と考えられています。もっとも守っていない建物も多いのですが・・・。

さて、今回の建物はそういった告示も守っていました。しかし問題がありました。

在来の4分割法的に考えると、北側の三尺の壁は9つもあるのに、南側は2つしかありません。開口率の制限はクリアしているのでツーバイフォー的には問題なのですが、これでは、ビルトインガレージの住宅同様にバランスが非常に悪くなり、地震に弱くなるのは必然です。

耐震診断ソフトにかけたところ、偏心・床低減係数Feがなんと0.6!!これではせっかく耐力があるツーバイフォーでもペナルティが大きすぎて評点は上がりません。低減がなければ評点1.4程度なのに、最終評点は0.8台と倒壊する可能性があるに該当!

いくら新しい建物でも、法令を守って検査を受けていても、このような物件はたまにあるのです。

クロスが割れていたのは、耐震的に弱い南側に集中していました。またその2階はなぜか雨漏りしています。恐らく揺れでクロスが割れていることと同時に、どこか隙間が出来て雨漏りをしたのだと予測できます。その話をしたら、お客様は非常に納得されていました。

築浅で強そうな建物でも、診断すると欠点が見えることがあります。最近では、耐震等級を取得しているのに強度が出ていない、構造計算をしてもらっているのに振動が激しい、という相談を良く受けます。中には特に異常がない建物もありますが、ほとんどのケースで何らかの欠陥が発見できます。心配なのだが、築浅だし大丈夫だろう、と思わずに、相談ください。