阪神・淡路大震災から24年

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阪神・淡路大震災で倒壊した家屋。写真は震災から約2週間後。

今年も1月17日がやってきました。いうまでもなく阪神・淡路大震災が発生した日。今年で24年目です。1995年1月17日午前5時46分、淡路島北部の沖の明石海峡を震源としたM7.3の兵庫県南部地震が発生しました。あまり大地震とは縁がなかった地域、しかも神戸という大都市を直撃したことから、大きな被害が発生しました。日本では関東大震災以降も大きな地震は発生していたものの、大都市直撃の被害が大きな地震は久しぶりということもあり、想像を大きく超えた被害が出ました。特に老朽化した木造瓦屋根住宅が多く、旧耐震の建物の被害が非常に顕著でした。

木造住宅に絞って見ていくと、それら被害を受けた古い建物は、筋かいなどの耐震要素が少なく、老朽化が進んでいるものが多かったです。昭和56年以降の新耐震といわれる耐震要素が多めの現在の基準に近い建物は新しかったこともあるのかもしれませんが、被害は少なめでした。そのことから現在の行政の助成金がでる耐震診断は昭和56年以前の旧耐震が対象になっています。

筋かいの有無だけでは倒壊するかどうかはわからない。

しかしながら、倒壊した建物を調べていくうちに、建物の平面的バランスが悪いものの倒壊が多いことがわかりました。そのため木造2階建てでもバランスの検討の項目を2000年の建築基準法の改正に盛り込まれ現在に至ります。

また1995年ともなると、構造用合板を使った比較的耐震性が高い建物も増えてきましたが、そのせいで、柱の引き抜きが発生しやすくなってきました。その倒壊が多かったことから、当時の建設省はすぐに建築物の構造耐力上の安全確保にかかわる措置を発表し、筋かいや継手、柱頭柱脚の金物での緊結方法を指示し、2000年の建築基準法改正で盛り込まれました。

よって、昭和56年の新耐震以降は安全、というのはそれほど根拠がなく、阪神・淡路大震災の教訓を盛り込んだ2000年以前は、ちょっと危険なのではないか?と以前から思っていました。このことはしばしば問題になっており、最近では、2000年以前の建物に補助金を出す行政も増えてきました。賛否両論ありますが、まずは一番危険なものから・・・という姿勢は評価していいと思います。

比較的新しめの建物も倒壊している。

現在の建築基準法は、阪神・淡路大震災を織り込んでおりますが、すべての建築士が耐震に留意して設計しているとは限りませんし、その基準が果たして適切かは、今のところわかりません。しかしながら熊本の地震を見ても新耐震で耐震等級を取得している建物でも倒壊したものがあったことから、巨大すぎる地震に対して、建築基準法の耐震基準が十分でない可能性は十分に考えられます。

窓やドアといった開口部は耐震上弱点になりやいです。壁とのバランスを考える必要があります。

各地震の調査結果を見る限り、木造2階建てでは壁量などは現在の基準ではやや足りず、耐震等級3が適切だと感じています。現在は高強度の耐力壁が開発されており、快適さを損なわずに耐震等級3を設計することが可能になっております。耐震等級1に比べて予算的にもそれほど高くならないことから、耐震等級3をお勧めします。耐震等級3ともなると、構造設計力が非常に重要になります。

これを聞くと腕の良い構造設計の人間に依頼したくなるかもしれませんが、そういうことではありません。間取りのプランニング、全体のデザインをしている時点できちんと構造的に成り立つプランを作って提示できるような優秀な建築士さんが設計することが大切です。構造設計はそのお手伝いをするわけで・・・。もちろん構造設計者は大事ですが、私が見る限り優秀な建築士さんは、優秀な構造設計者とコンビを組んでいます。特殊な構造を望むならともかく、普通の住宅であれば構造設計者から選ぶ必要はあまりありません。

なまあず本舗設計室は、ちょっと特殊で、デザイン・構造一緒にやっています。同時に検討できるので素早く安価に・・・と、メリットだらけに聞こえるかもしれませんが、それは違います。どちらを重視するか?を考えた場合、どうしても構造主体になり保守的になりがちです。最新の流行デザインを採り入れたものとか、奇抜なものはあまり得意ではありません。また極端な地元特化のため府中近隣しか対応できないという大きな欠点もあります。 メリットとしては、たくさんの優秀な建築士さんと一緒に仕事しているので、様々なケースに対応できることでしょうか?それ以外で考えた場合、耐震の安全性を第1と考える方、構造や省エネもスペック重視の方は、なまあず本舗設計室を選んで頂けると良いと思います。ありがたいことに、古くから良い施工業者に恵まれていて、府中近辺に良い建物をたくさん設計施工させていただきました。府中近辺で耐震性を第1に考えておられる方は是非なまあず本舗設計室にご相談ください。