住宅の地盤調査は必要なのか(長文 その1)

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住宅を建てるのには事前調査が必要です。道路や上下水道などさまざまです。そして地盤調査も必要です。設計事務所や工事業者の話を聞くと、法令で決められているからとりあえずやる、価格の安いところでお願いする、といった後ろ向き発言が多いです。地盤保証のため、とかもありますね。

法的には、建築基準法第20条の「構造耐力」の項(建築物は、自重、積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧及び水圧並びに地震その他の震動及び衝撃に対して安全な構造のものとして、次の各号に掲げる建築物の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める基準に適合するものでなければならない)を満たすことが必要です。20条は当たり前条文ですが、その後の構造的な条文の中心になっています。地盤に対してももちろん要求されます。

地盤に関しては建築基準法施行令38条「基礎」(建築物の基礎は、建築物に作用する荷重及び外力を安全に地盤に伝え、かつ、地盤の沈下又は変形に対して構造耐力上安全なものとしなければならない)が基本条文になります。この性能を実現させるために同3項(建築物の基礎の構造は、建築物の構造、形態及び地盤の状況を考慮して国土交通大臣が定めた構造方法を用いるものとしなければならない。この場合において、 高さ13メートル又は延べ面積3,000平方メートルを超える建築物で、当該建築物に作用する荷重が最下階の床面積1平方メートルにつき100キロニュー トンを超えるものにあつては、基礎の底部(基礎ぐいを使用する場合にあつては、当該基礎ぐいの先端)を良好な地盤に達することとしなければならない)に書かれています。令38条の他項と告示1347号が、基礎・地盤関連です。詳しくは条文を見ていただければわかること・・・と言いたいのですが、法令は独特の言い回しと、バラバラに書かれているので案外やっかいです。そのため建築士は法令に明るくなければなりません。意外とこのあたりの条文に詳しくない方が多いような気がするので注意が必要です。

難しいことを抜きにして告示1347条に地耐力毎の基礎の選定が書かれています。そのまま読むと地耐力が20kN/m2未満は基礎ぐい、20~30未満は、べた基礎、30以上は布基礎と読み取れます。この場合の地耐力は地盤改良を行った場合は、改良後で良いことになっています。住宅の場合は、基礎ぐいはあまり使いませんので、地耐力が不足している場合は地盤改良を行うことになります。

よ~く考えると、ここでは建物の重量のことは書いてありません。いうまでもなく建物重量と基礎底版によって必要な地耐力は決まっています。建築士はプロなんだから~と思っているかもしれませんが、そんなこと知らないのが普通です。まあ実際建物を重量計に乗っけて図るわけにもいきませんし。なので部材を拾って荷重計算するのですが、それすらしていないのがほとんどです。もちろん構造計算を行っていれば荷重は計算していますのでわかるのですが、通常の木造2階建ての場合、壁量計算やN値計算といった簡易なものしかしていないので荷重計算は行っていません。条文も少ないし、案外いい加減なんです・・・。

それでも平成12年に前述の告示1347号ができたおかげで、原則的に全建物は地盤調査を行っているわけで、地盤のトラブルは激減しました。しかしほとんどは業者まかせ。いいのかな~??といつも考えます。