住宅の地盤調査は必要なのか(長文 その2)

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必要なのは、その1の通り。地耐力がわからなければ、基礎を選べませんものね。

ではその地耐力を測る方法は、告示の1113号の第2に定められています。木造2階建てのような小規模かつ軽量の建物には、スウェーデン式サウンディングという非常に簡易な試験を行い算出することになっています。メリットは非常に安価で、多点調査が楽なこと。建物が軽量なので、不同沈下が怖いので、多点調査が楽なのは大きなメリットとなっています。機械が小さく扱いやすいのも普及した理由です。一番は価格!かもしれません。しかしながら構造に詳しい建築士の先生方は、スウェーデン式サウンディングを非常に嫌います。私は個人的にそこまで嫌わなくてもいいのに、と思いますが、確かに欠点だらけといえばだらけです。ですがその特性を知って対処すればある程度はカバーできるのも事実です。

スウェーデン式サウンディング試験とは、その名の通りスウェーデンで国有鉄道の不良路盤の調査として採用したことからこの名前が付いたそうです。元々は家に建築用ではないです(以上、ジオテック株式会社HPより抜粋)。鉄の棒をおもりを載せて地面に差し込んでいって(実際は回転しながら)、25センチ貫入させるの必要な回転数を記録します。回転数が多ければ固い地盤となります。音などで地質を推定できますが、実際の土を採取するわけではないので信頼性が薄いです。最近のスウェーデン式サウンディングは機械で自動的にやってくれるので楽ですし、中には土を採取することもあります。砂利層などでは鉄の棒が入っていかないので向きません。

砂利層などスウェーデン式サウンディングが苦手な地盤の調査は、私の場合は平板載荷試験を行います。これは基礎に見立てた小さな載荷版に、実際の建物の重量に見合う荷重をかけて沈下量を測定し安全性を確認するものです。短時間で調査できますが、基礎面までの掘削が必要ですし、地質も分かりません。しかし当たり前のような現実的な検査なので信頼性が高いです。

他には表面波探査法を使う事も多いです。表面探査法は、地面を揺らしてそのゆれの伝わる速さを測定して地盤を判断します。信頼性で若干劣ることがありますが私の場合は多点調査とスウェーデン式サウンディングとの併用で精度を高めています。汎用性が高いので様々な地盤で使えるのがポイントです。

もちろん一般的な標準貫入試験なども利用します。建物規模や地盤状況によって判断します。新築の費用はいろいろかかるので、目に付かない部分は安くすませたいものですが、基本的なことですからきちんと行いたいものです。義務化されて良かった反面、逆に設計者が地盤調査に興味を失ったことは残念です。