中古住宅を購入するときの注意点

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こんにちは。正月が終わり寒さ厳しい季節になりましたが、春はすぐそこです。春は引越シーズン。家を建てたいという方もいると思いますが、中古住宅を購入したい方も多いかと思います。なまあず本舗設計室にその手の相談があるのはだいたい2月~4月が多いです。今回は過去の相談などから、中古住宅の購入時の注意点を、主に耐震性の視点から書かせて頂きます。

築年数はやっぱり重要だが・・・

築年数が気にならない人はいないと思います。雑誌やネットでは昭和56年以前の旧耐震は・・・という言葉が踊ります。確かにそうかもしれませんが、私の印象は別です。その建物が気に入って、ある程度リフォームをしても予算オーバーしないのであれば、むしろ積極的に購入を検討しても良いと思います。なぜなら、その年代の建物の構造体はまだ十分保つ物が多いですし、何よりリフォームしやすいです。また行政の助成金が出ることが多いのも魅力です。その場合やはり劣化が少ないように見えることが大切ですが、わからない場合は事前に耐震診断をしてもらうといいでしょう。インスペクションという手もあるのですが、インスペクションではわからない部分が多いのです。私も複数購入前からリフォームまで係わっていますが、意外と良い結果になることが多いです。ある程度状態の良い古い建物は魅力的です。その際、増築を繰り返している物件、平屋建てのものに2階を増築している物件は危険が高いので避けた方が無難です。

逆に昭和56年以降平成12年くらいまでのたてものはお勧めしません。耐震の助成金が使えないことが多いですし(使えるなら魅力的なこともあります)、そこそこ古いです。気密性が良くなり断熱材が入っているものも多くなってはいますが、その結果、見えない雨漏り、漏水などの危険が高くなり、点検が困難です。押入から点検できないタイプもこの時代に多く、リスクが高いです。違法建築も多く、新耐震なのに筋かいがなかったりします。また柱頭柱脚の金物の義務化が平成12年なので、この年までのものは、金物関連の不備が非常に多くあります。構造体も外国産・集成材が多くなったり、構造用合板を使った物も多くなり、一見耐震性が高いように見えますが、正直、旧耐震とあまりかわらないものも多いです。通気層を取らない建物が多く、合板の劣化が早い物件が多いのも特徴です。

平成18年以降の建物は、耐震偽装事件後、検査がうるさくなっただけでなく、設計者、施工者が耐震にかなり意識をするようになっているので、欠陥建物を掴む危険性が少なくなりお勧めです。しかし築浅なので金額が高いのがネックです。

形状が重要

築年数もある程度重要ですが、耐震に関しては形状が重要です。まず大きな増改築を繰り返しているものは論外です。よく確認申請手続きをしていれば安全、という方もいますが、私が見る限りそれほど差はありません。できれば確認の有無に係わらず大きな増改築経過のある物件は避けた方が無難です。他に車庫だけ鉄骨の混構造、ビルトインガレージのある築15年木造3階建て、オーバーハングな建物、複雑な平面形状、狭小住宅なども出来れば避けたいです。形状的に不安定なものは、整形なものにくらべ、やはり弱いですし、そもそも住みにくいです。

参考)揺れやすい木造3階建て住宅(地震・風)

私が相談受ける物件は、比較的安価なものが多いです。つまり上記のような欠点を抱えているものがほとんどです。安物買いの銭失いにならないように慎重に・・・と思っていても予算の問題があるので、ついつい安価なものに目がいくのは仕方がないことかもしれません。できるだけ安価に!と思うときは、自分が何を優先するかをはっきりと整理し優先順位をつけて割り切りが必要なこともあります。安くて良い物って世の中意外と少ないですから。