木造3階建ての耐震診断の怖さ

この記事は約3分で読めます。

こんにちは!今日は、2018年初の耐震診断に行ってきました。元々田んぼがあった地域で、水路に囲まれた立地なので地盤が心配ですし、床下の湿気も気になります。地図の形状から・・・・と訪問前に色々調べてから訪問します。盛り土のせいか?一部沈下しているように見えました。今日集めた調査結果より診断を開始します。

さて、今日は木造3階建ての耐震診断の怖さについて。

木造3階建ては、木造2階建てと大幅に異なります。まず木造3階建ては構造計算の必要があります。また防火指定にもよりますが45分準耐火という一段高い耐火性を求められます。この二点より、木造2階建てよりしっかり建てられた建物が多いのです。そもそも木造3階建てが認めらら他のは、1987年からなので、比較的新しい建物が多いと言うこともあります。

しかしながら昔は構造計算の方法も成熟しておらず、設計者も未熟な人も多く、審査も杜撰でした(すべてではありませんが)。そのためいい加減な木造3階建てがたくさん乱造されました。特に検査済証を受けていない建物は、図面通りになっておらず、極めて危険な構造のものも少なくありません。

そんなわけで、本舗にも木造3階建ての相談がたくさんくるわけですが・・・やっぱり診断するのは怖いことがあります。図面通りで検査済証があっても、かなりいい加減な建物も多いですし、金物がまったくなかったり、形がまったく違ったり、施工不良が多かったり・・・というわけで、苦戦することもしばしば。診断していて多く遭遇することは、

・本来壁がある部分に窓やドアがついている
・耐力壁の仕様が図面と現状で異なる。柱位置が違う
・防水不良で内部に雨水等が浸入している
・お客さんの希望で内部の柱や壁を壊したリフォームを実施している
・耐力壁や金物の施工不良
・設計者の技量不足からなる無理な設計に伴う欠陥

意外と多いです。そのため、ケースによって診断方法を選択したり、方法を変えてその建物に適した診断を行うように心がけています。図面・計算書がしっかりしていて検査済証もある場合は、図面のチェックや計算書のチェックから入ります。図面や計算書があっても当てにならない場合は、図面の再生成を優先します。金物の施工がわからない場合は、計算上の金物を算出してから、それがない場合とある場合を精査して絶対に取り付けなければならない場所などを特定して、補強の優先順位を考えて診断します。

ある程度診断回数を重ねているからこそわかることもあります。やっぱり経験がモノをいいます。ただそれでも「これは・・・」ということもあります。経験しているから絶対!ということはありません・・・。

木造3階建ての診断は、普通の2階建てに比べて非常に難しいです。そもそも構造的に複雑です。補強もただ単に壁を作れば良い、といった改善策が通用しないことも多いです。少なくとも耐震診断ソフトに入力すれば・・・というレベルでは通用しません。私も構造計算ソフトや手計算(実際はExcelですけど)を併用します。できるだけ良い診断や、補強方法を提案するために日々の学習は欠かせません。皆様から相談があった場合にきちんと対応できるように万全を期して準備しておりますので、安心してご相談ください。