おはようございます。
全国的に天気が不安定ですが、お盆休みに入った方もいるかと思います。せっかくの休みなんで楽しんで、そして体と心を休めていただければと思います。
さて、今日は木造住宅の耐震性について1つお話いたします。
木造住宅は極論すると、耐力壁という地震に強い壁がどれだけあるか?で耐震強度が決まります。しかし実際はもっと細かい「何か」が重要になります。
基礎はすべての基本で基礎がダメだとすべてダメだよね。と耐震診断のときお客様から言われることが多いです。確かに正しいように見えます。上に載っている木造住宅も基礎が壊れれば倒れます。しかし、もっと基本的なことがあります。
まず、建物は長期間建ち続けることが重要です。そして内部の人間や財産を守る必要があります。そのうえで、地震や台風などから守るために耐震性や耐風性が必要になります。長期間建ち続けること、地震や台風から守る強さが必要になりますが、それぞれ考え方が違います。しかしどれも「弱いところから壊れる」という原則は変わりません。
新築でも中古でも古民家でも同様です。新築の場合一定の強度があることから、弱点を出来るだけなくし、耐力壁を増やしていくことが重要です。そしてどこか強度を強くしたら、他の部分もそれに見合うように強度を上げていく必要があります。吹き抜けがたくさんある建物を耐震性を上げようとすると、壁を多くしがちですが、実際は吹き抜け面の位置関係や床の強度などに気を配るべきです。壁が多くても吹き抜けの弱点を補えなければ耐震性は上がりません。
古い建物だと更に複雑化します。壁を増やしても、仕口が抜けることが多くなるので、うまく金物補強する必要があります。建物が固くなれば、基礎も強くしなければなりませんし、基礎にアンカーボルトでしっかり留めつける必要があります。そのような考え方が重要で、いきなり上部を補強せずに基礎だけ補強や、金物だけ補強は合理性を欠きます。一般に旧耐震の建物は、耐震性が不足しています。基礎や仕口がやられるよりも先に倒壊してしまうことが多く、基礎や仕口の補強を優先するのは賢くありません。やはり屋根の軽量化や壁の補強に合わせて、仕口を金物補強したり、基礎の補強を行うことが重要です。
そして、どれくらい補強しなければならないか?は耐震診断しないとわかりません。できれば精密診断をお勧めします。金物も適度なものをつけることで十分で必要以上なものは必要なかったりします。
というわけで、耐震を考えて設計する設計者は、常にどこが壊れやすいか?を頭にいれて設計します。そのための知識や技術を身につけていなければならないのは言うまでもありません。制震ダンパーをつければ強くなる、とか金物をつければ、というような単純な話ではありません。

