毎年秋に、むさし府中商工会議所の視察研修会に参加しています。私が毎年参加する数少ない行事の一つです。今年は青梅建設発生土再利用事業所と二ツ塚処分場でした。建築設計を行っている人間にとって、近くて遠い存在。設計を行っていると取り壊しもあるわけで、膨大なごみを出している産業の一つながらあまり知ることはありません。
今回見学に行った建設発生土再利用事業所では、広大な採石場跡地に、受け入れた建設発生土の土質を改良して公共系工事に供給する場所です。東京都内にこれだけ大きな施設があるというのは驚きです。その割に機材などはシンプルです。もっとも扱う量が膨大で、広大な敷地内だから、機材が小さくシンプルに見えたのかもしれません。なかなか見ることができない場所ですので貴重な経験でした。
二ツ塚処分場は、多摩地域25市1町の可燃ごみの焼却残さや破砕された不燃ごみが搬入される最終処分場です。日本人の年間に出すごみの量は膨大です。昔は埋立などで処分していましたが、年々場所がなくなっていきます。環境問題などもあり、ごみの問題は非常に重要です。近年リサイクル率が向上し埋め立てるごみは減ってきています。しかしそれでも最終処分されるごみは出てきます。
この二ツ塚では、焼却残さを原料にしてリサイクルしてエコセメントを製造する施設があります。この施設も非常に大きくてびっくりです。他のごみ焼却場ででた灰を運んできて処理するので、ここでは焼却はしないのですがね。エコセメントとは、焼却灰を主原料にした新しいセメントで2002年7月にJIS規格化されたものです。通常のセメントで利用される石灰石、粘土、けい石などの代替としてごみ焼却灰を混ぜます。通常のセメントとは異なる複雑な工程で作られるため、製造コストは非常に高いそうです。それでも本来埋め立てなければならない灰を利用できるため、最終処分場の延命など様々なメリットがあります。最終処分場は現在他に立地できる可能性が有る場所はほとんどなく、できるだけ使い続ける必要があります。この二ツ塚だって限界があります。エコセメントを作ることで、資源として再利用でき、再び利用できるのです。エコセメントは普通セメントとほぼ同等の品質を持ち、流通価格は変わらないように設定しているため、幅広い用途で利用されているそうです。
そのほかにも、環境に配慮して、様々な工夫がされている施設でした。このような処分場ができるだけ長く使えるように、我々もエコな気持ちを忘れてはなりません。
夜は懇親会。「黒茶屋」さんでした。建物も趣があり、料理もおいしく、非常に楽しい時間をすごすことができました。また来年も楽しみです。