H様邸耐震補強


先日、終了したH様の耐震補強の報告をしてきました。H様邸は、木造3階建てで昨年竣工の住宅です。揺れが多いと言うことで、昨年耐震診断を行い1月に工事を行いました。基本的に、耐震補強の報告は、補強工事後すぐではなく、しばらくしてから行っています。これは工事の不具合や、実際の効果など体感できる時間が必要だと思うからです。もちろん、報告書の作成、写真の整理、補強後の評価など、やる作業は意外にたくさんあります。

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玄関部です。柱を新設しました。スパンが長いこと、ビルトインガレージという不安定な架構もあり、振動が多かったのです。柱を追加することによって、振動が激減したそうです。構造計算されている建物でも、振動が多いかどうかはわかりません。簡単そうな工事ですが、実際は結構大変でした。土間は異常に固かったですし、アーチ状の垂れ壁もくせ者でした。リフォーム時には思いがけない障害がでてきます。思った以上に難工事でした。ちなみに垂れ壁内に仕口ダンパーを仕込んでいます。大きさがちょうど良かったので、外にはみ出ないで良かったです。

構造計算がOKならいい!みたいな風潮がありますが、構造計算は安全を確かめるツールであり、数字がすべてではありません。今回の架構も計算的には成り立ちますが、玄関・ビルトインガレージの間に柱も壁もないのは見た目からして不安定です。計算以前にこのような設計は避けるべきだと個人的には感じています。今回は現場の精力的な仕事が目に付きました。この柱の色を調合するのに非常に多くの時間をかけてくれました!細かいところですが、このような部分に真剣になれる職人さんは素敵です♪

 

 

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吹抜け・階段部分から3階の部屋を実質一本の梁で支えていました。これでは3階の揺れは2階へ、2階の揺れは3階へ伝わりやすいし、非常に揺れやすいです。そこで階段手すり左側に柱を増設しました。写真だと後から加えたことがわからないくらいにきれいに仕上がりました。住んで間もない建物ですから、できるだけきれいに!を合い言葉にやりました。

 

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新設柱(写真左側)の上部です。この通り階段と吹抜けになっています。見た目にも弱いのですが、構造計算上はOKです。やはり構造計算だけでは駄目なようです。そこで火打ちをいれて水平構面の強度をアップしました。思ったより目立たなかったですが、こうやって写真を撮ると・・・結構大きいですし、安心感がありますね。

なまあず本舗も、木造3階建ての構造計算は多数行ってきました。構造計算という業務は、意匠設計者が作ってきた図面を元に計算をおこなうという、ある意味受動的な作業です。しかしそこで安全性に関しての意見をいうこともできます。逆に数字だけクリアできれば良い!みたいな考え方も生まれてきます。木造住宅の構造設計者は、完成された住宅を見に行くことは稀です。計算だけで精一杯ですし、発注者もそこまであまり求めません。我々は耐震診断を行っているからこそ、気がつくこともありますし、現場にいることによって得ることは非常に大きいです。耐震補強やリフォームで得た知識は、新築で活かすことができます。そいういう点では恵まれているなと改めて感じます。

おかげさまで揺れがかなり減ったと満足していただけたようです。引っ越したばかりの新居を工事しなければならなかったH様の心境を思うと心が痛みましたが、無事終えてほっとしています。いろいろ勉強になった現場でした。この経験を次に活かしていきたいと思います。