木造3階建ての耐震補強

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おはようございます。昨晩の雨が嘘のように良い天気ですね。しかし寒さも本格化してきますので、寒さ対策をお忘れ無く。私もこたつと暖房器具を出しました。まだこたつだけで十分なのですが、一気に寒くなりそうですからね。服も含め準備万端です!

さて、最近、木造3階建ての耐震の問い合わせが増えています。木造3階建てというものの理解が、建築士も含め薄いような気がします。これは耐震に限らず、住みやすさや、耐火の面、断熱も含めてです。構造計算だけを行っていた頃にはわからなかった木造3階建ての本質がなんとなくわかってきたような気がします。専門・細分化は悪いことではありませんが、自分の専門領域外に興味を持たなくなったことは非常に悲しい事態です。これは建売に限らず注文住宅でも同じ事はいえます。ただ2階建ての場合、ある程度経験でカバーできる部分があるのに対し、木造3階建ては更に専門的な知識、技術が必要ですし、経験の蓄積も2階建てに比べると浅い傾向があります。

よく、木造3階建ては揺れやすいという話を聞きます。これは地震に弱いという言葉と混同されますが、実際は若干異なります。木造住宅は、木の粘りやすさを活かしていますが、そのため鉄筋コンクリート造に比べそもそも揺れやすい性質を持っています。揺れることによって振動エネルギーを吸収します。木造3階建ての場合、高さが高いのでこの傾向が顕著です。ですから揺れるということだけで、地震に弱いとは必ずしも言い切れない側面があります。ガチガチに固めたら逆に倒れてしまった!という可能性もあるわけです。

しかし、大地震などで揺れるのと、日常で少しのことで揺れるのでは訳が違います。揺れやすいことによって、釘やボルトが緩み、長期的に耐力が落ちてくる可能性も否定できません。また揺れることによって防水が劣化しやすくなったり、隙間が出来て雨漏りの可能性も高くなります。仕上げ材やクロスもヒビ割れするかも知れません。日常生活を考えると、あまり揺れるのは精神衛生上問題がありますし、体調を崩す原因にもなります。

その原因を突き止めるには、耐震診断が一番ですが、木造3階建ての耐震診断は、木造2階建ての耐震診断とは次元の違う難しさがあります。まず構造計算書のチェック。これは構造技術者でなければできません。設計上や計算上の問題があることが多いので、まず計算書の分析から始めなければなりません。そして現地調査。通常の木造3階建ては、古い家屋と異なり準耐火構造であることが多いので構造材を剥がさなければ正確な調査は難しいです。といって剥がすと耐火性能などが落ちてしまったり、耐震性能も落ちるので問題です。なまあず本舗ではある程度新しく劣化が少ない場合は、サーモグラフィーによる非破壊検査を行うことにしています。すべを探すことは不可能ですが雨漏りや、筋かいなどを探すことができます。

なまあず本舗設計室では、主にビルトインガレージ付近の補強について研究してきました。夏に行ったO様邸の耐震補強では、その一定の成果がでて低価格・最低限の補強で振動を劇的に減らすことに成功しました。同様の。今も新築用のビルトインガレージの振動防止策を開発中です。なかなか難しい部分とコストの問題もあるのですが、今後の設計を考えると投入してみる価値はあると思います。もっとも家によって柱サイズ、種類、振動の状態などバラバラですから、唯一絶対の対策などあろうはずもありません。そのあたりの問題は、設計事務所ということを活かし、ケースバイケースで個別対応させていただければ、と思っています。