混構造や地下室付き住宅の耐震診断について

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最近、混構造の耐震診断について問い合わせが多くなっています。
木造の診断と鉄筋コンクリートの診断ができるのであれば、そんなに難しくない・・・といいたいところなのですが、実際両方詳しい人ってあまり多くないのと、木造部分と鉄筋コンクリート造部分で別々に診断するので、2棟分なので、費用的にかなり高くなってしまう・・・ということもありなかなか診断が行われないのが実情です。あと、混構造は強いと勘違いしている方も多く診断の需要が少ないのも問題なのかもしれません。

コンクリートのかぶりが浅いと割れてしまい鉄筋が錆びて壊れてしまいます。

コンクリートのかぶりが浅いと割れてしまい鉄筋が錆びて壊れてしまいます。

しかしながら地下室付きを含め混構造の戸建て住宅は危険なものが多いのも事実です。鉄骨造との組み合わせは更に危険なものが多いのですが、鉄筋コンクリート造も意外と危険です。最近調査したものでは、木造部分が載るRC造部分の天井(木造から見れば土台がのる基礎)が、薄すぎて若干たわんでいました。普通そんな施工をするはずはないのですが、木造との混構造の場合、鉄筋コンクリート造の工事になれていない業者が多く、知らず知らずのうちに危険な建物を建ててしまいます。それでも3階建てとして申請しているものは、構造設計者が設計しているのでまだマシなのですが、耐震偽装事件前は、特に地下室付きの上部木造2階建てや半地下の木造は構造設計すらされていないで施工されているものが多いのです。これらはかなり危険な建物が多く、また診断もしない方が多いので要注意です。

コンクリートのコア抜き調査

コンクリートのコア抜き調査

本来地下室は地震に強いはずですが、必要な性能がないと耐久性に劣り、危険な建物になります。

調査方法としては、木造部分は高さや土台部分の設計を加味した木造耐震診断を実施し(高さによる違いが顕著なので普通の木造2階建ての診断とは異なります)、地下室部分や1階のRC造部分は、鉄筋調査、コンクリート調査を元に簡易診断を実施します。精密な診断じゃないの?と言われますが、施工精度が追いついていない建物では精密に診断できないのです。鉄筋の基本的な仕様になっていてくれれば精密の意味もでてくるのですが、ほとんどの場合独自の方法です。特に古い建物(平成10年くらいまで)は顕著です。それに本当に精密にやろうと思うと調査金額が跳ね上がります。昔は当設計室も相談を受けると正直に精密診断の金額を提示していましたが成約するはずがありません(笑)。しかし相談などで危険な混構造が多いことに気がつき、少しでも安価にできないものか・・・と研究を重ね現在に至っています。

鉄筋のはつり調査。コンクリートを削って実際の鉄筋の状態を確認します。図面がない場合などこの調査が必要な場合があります。

鉄筋のはつり調査。コンクリートを削って実際の鉄筋の状態を確認します。図面がない場合などこの調査が必要な場合があります。通常は超音波による調査で鉄筋間隔やコンクリート厚さを測定します。

最近は、混構造で木造部分(精密診断法1又は一般診断法)と鉄筋コンクリート部分(コンクリート調査と鉄筋調査と実測による簡易診断)と建物全体の診断でようやく50万円を切るようになってきました(はつりがない場合)。外注の鉄筋調査とコンクリート調査だけで約20万円かかるので、この金額でも結構厳しいです。ただこの金額だと検討してみたい、という方も増えてきています。もちろん地下室や混構造の1階部分だけの診断というのもできます。その場合はもっと低価格(35万円くらい)でできることもあります。図面等があれば、更に精密に診断することもできます。お客様の要望に柔軟に対応いたしますので、詳しくはご相談くださいませ。