杭の偽装事件ではなく、地盤調査・杭の根本的問題

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おはようございます。ハロウィンも終わりました。府中市では、ふちゅうニコニコ商品券の販売フィーバー?も終わりました。そしてもう11月です!!

さて、先月より騒動が拡大している杭の偽装事件。この業界の恥ずかしい一面をさらけ出しているようで、非常に寂しい気分です。恐らく早期に対応していればここまで騒ぎにはならなかったのでしょうけど。本論から外れたところで騒ぎになっているのが非常に問題です。

杭、というより土の中の問題は、思ったより根深いです。というのは、法定で定められている調査で、土の中のことが全てわかるわけではない、ということを前提に、基礎や杭を設計しているからです。構造屋さんである、なまあず本舗設計室でも、正直判断に困る地盤って多いです。それは大手の技術者でも同じだと思います。杭や基礎を決定するための、地盤調査といわれているものの精度は、思った以上に低いです。そしてあのような大きなマンションの場合であっても、勘や推定が必要です。なので偽装問題は確かに問題ですが、偽装していなくても今回のようなことが起こる可能性は否定できないのです。

というのもマンションの地盤調査は、戸建て住宅で信頼性の低いスウェーデン式サウンディング試験ではなく、もう少し信頼性の高い標準貫入試験です。しかしこの試験も欠点はありますし、何より、すべての地盤面に対しての調査でないことも問題です。つまり一定の間隔(それも結構間隔が広い)で調査しますので、その間に急激な異変などがあった場合は把握できないことです。もちろん建物にはある程度の剛性がありますし、地盤が急激に変わるような要注意箇所はある程度先に把握していますから、大きな問題になることは少ないです。だからこそ今回のような事件もなかなか表面化しないのです。もし偽装しているつもりでやったとしても偶然支持層に到達していたり、また到達していなくても地盤地下しない場合もありますから。

そう考えても、できるだけ知識・技量のある調査者がしっかり調査を行い、その結果を踏まえた設計者が設計し、きちんとした業者が施工し、しっかり現地で管理して、杭が到達しなかった場合の指示も的確に行えば、トラブルは防げるはずです。数多くの技術者たちが関わって、ようやく施工できる建物で、誰か1人のせいにしたり、誰か1社のせいにしたり・・・そういう話しではないと思います。大手だから安心とか、安易な考えではしっかりした建物が建たないことをご理解していただければ、と思います。少なくとも、今回の事件は偽装していたとしても、他のどこかで防げた可能性が高いのです。建設業の総合力が問われている気がします。